一部の東京都立高校が、地毛の頭髪でも黒く染めさせる生徒指導をしているとして、NPO法人代表や弁護士ら有志が30日、中止を求める1万9065人分の署名と要望書を都教育委員会に提出した。都教委は地毛の黒染め指導をしないよう都立学校長に口頭で求めてきたが、改めて徹底する考えを表明した。
署名活動は、子供の社会問題に取り組むNPO「フローレンス」代表理事の駒崎弘樹さん(39)や、都内の私立高で地毛の黒染め指導を受けた大学1年生の女性(19)ら5人が発起人となり、5月からインターネットにサイトを設けて始めた。
要望書では、黒染め指導中止の都立高への通達のほか、規定がないまま指導していたり、受験生に周知されていなかったりする可能性もあることから、学校ホームページへの校則の掲載など情報公開推進を求めた。
これに対し、都教委高等学校教育指導課の佐藤聖一課長は「生来の頭髪を一律に黒染めするような指導は行わない」と明言。ただ、校則のネット公開は「学校の特色を掲載するページを充実させる取り組みを行っている」と述べるにとどめた。
頭髪指導を巡っては、2017年、生まれつき茶色い髪の黒染めを強要されたとして、大阪府立高の3年生だった女子生徒が約220万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴し係争中。指導を見直そうとの機運が高まったが、一部では旧来の対応が続き、「多様性」を掲げる東京五輪・パラリンピックの開催を前に都教委への要望に踏み切ったという。
家庭用品メーカーのプロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(P&G)が今年2月、中高生400人を含む計600人を対象に実施した調査で、13人に1人が地毛の黒染め指導を受けた経験があると回答している。
駒崎さんは「黒髪は社会に順応しているシグナルとして奨励されており、先生たちは就職のことを考えて指導している側面がある。企業や社会も変わっていかなければいけない」と話している。【大久保昂】
2019-07-30 08:59:00Z
https://mainichi.jp/articles/20190730/k00/00m/040/122000c
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