© Guillaume Erblang
シェフができること
フランスでは、外出制限が5月11日まで延長された。その日からは幼稚園、小学校、中学校、高校が段階的に再開されることになり、マスクの着用が義務づけられる。一方でレストラン、映画館、美術館は閉まったままで、大規模なイベントは7月中旬までは禁止状態が続く。
外出制限の成果があって、10日前から集中治療室の患者数は減り続けているが、過酷な医療現場の最前線で働く医療従事者の疲れはピークに達している。それを受けて料理人たちが立ち上がった。
大統領府エリゼ宮の料理長ギヨーム・ゴメスは、「医療従事者とともにあるシェフたち/ Les chefs avec les soginants」というアソシエーションを創立。全国のシェフに医療従事者への食事提供を呼びかけ、650人ものシェフが賛同した。連帯の輪はひろがり生産者は無償で食材を提供し、病院に食事が届けられるシステムが作り上げられたのだ。
パリの中心、マドレーヌ寺院に店を構える老舗レストラン「リュカ・カールトン」のシェフ、ジュリアン・デュマさんの取り組みを紹介する。
「外出制限の出た時から、24時間態勢で働く医療従事者のために料理を作りたいと思っていました。彼らの食環境は酷く、栄養価の少ないものを数分で流し込んでいると聞いたからです。いま、“戦場”の最前線にいる人たちにしっかりと食べてもらいたい。そこで普段から懇意にしているパリ近郊の生産者から賛同を得て、無償で食材を提供してもらいました。僕の店の厨房は使えないので、パリ郊外ガランヌ・ルコンブにある小学校の給食調理室を借りて、ボランティアで料理を作っています。そしてギヨーム・ゴメスと提携する配達業者に委託して、毎週水曜日と日曜日、3カ所の病院に250食を届けてもらっています。いまはそれぞれが自分の分野で、できる範囲で支援しているのです」
今週の料理はパリ近郊で採れたオーガニックのイチゴとクレソン、ラディッシュとグリーンピースのパンナコッタ、スパイシーに味つけしたタジン風の野菜を添えた鶏のミンチ料理だった。「重要なことは栄養とボリュームがあって、シンプルでオリジナルなこと。医療スタッフは食事の時間が5、6分ぐらいしか取れないだろうから、食べやすく立ったままでも食べられる形にしました。ただ空腹を満たすのではなく、つかの間の気分転換になってほしいです」
© Guillaume Erblang
アフター・コロナ
デュマさんは業界随一の環境保護意識の高さで知られている。水産資源保護のNGO「エリック・オセアン」に関わるほか、日頃からガストロノミーとサステイナブルな環境との両立を提唱している。コロナ禍後の世界について思いを馳せた。
「人々は以前のような世界には戻らないことを感じています。もうこれ以上、大量に消費して、『かつてのように』進み続けることはできなくなった。環境を脅かし続けるやり方に先がないことは明白です。いま、まさに最後通牒を突きつけられているのです。将来レストランが、どのように機能するのかは誰にも分かりませんが、素材選びから厨房内のオーガナイズまで、環境保護を優先して考えていくように迫られています」
いうまでもないが、このような活動ができるのは、フランス政府がレストラン休業中に、従業員給与を84%補償していることもあってのことだ。
PROFILE
魚住桜子
パリ在住19年のフリージャーナリスト。食と映画の話題を中心にフランス文化や暮らしにまつわる人物インタビューや取材、執筆を行う。「料理通信」を始め「映画芸術」「キネマ旬報」などの専門誌やライフスタイルマガジンに執筆中。外出制限が敷かれて以来、毎日1本かかさずヒッチコックの映画を見ている。
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April 21, 2020 at 06:48PM
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医療関係者を料理で支援するシェフたち──新型コロナウィルスで外出制限下のパリはいま? (4月20日) - GQ JAPAN
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