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Wednesday, October 28, 2020

個人的スポーツイヤフォン決定戦! 会議、自転車、ランを全部カバーするのは? - AV Watch

スポーツワイヤレスイヤフォン最新3製品を試してみる

私生活も仕事も、ほとんど自宅とオンラインで済ませるようになったことで、身の回りに揃えるものが以前とは少しずつ変わってきた、という人も多いのではないだろうか。

筆者はどうかというと、メインPCがデスクトップに、モニターは新調した。オンライン会議・取材用にアクションカムをWebカメラ化したうえで、それをイイ感じに固定するのに周辺機材を買いまくった。自宅にこもると運動不足になるから、健康のために室内サイクリング環境を充実させたし、自宅で料理することも増えたので包丁を2本買い足したりもした。今日も自分でさばく刺身がうまい。

そんななかで、少しずつ不満が積み重なってきたのがヘッドフォンやイヤフォンなどのデバイスだ。オンライン会議・取材はヘッドフォンや外部スピーカーを使い、室内サイクリング中にはイヤフォンで動画視聴。さらに外をランニングするときは音楽を聴くためにまた別のイヤフォンをする。実に面倒くさい。

なぜいちいち用途ごとに変えるのかというと、手持ちのデバイスにはそれぞれに向き不向きがあり、使い分けざるをえないのだ。できることなら、これらをすべて1つのイヤフォンでまかないたい。少なくともスポーツに使う以上はスポーツイヤフォンがいいだろうし、仕事、室内サイクリング、屋外ランニングの3つの用途を兼ねるのならばやっぱりワイヤレスの方が都合がいい。

であれば、あらゆる場面でバランス良く使えるスポーツワイヤレスイヤフォンを見つけるしかない。というわけで、筆者が個人的に決定版と思えるようなスポーツワイヤレスイヤフォンを求め、3つの製品「Bose Sport Earbuds」(税込2万4,200円)、「NUARL N6 mini」(同1万890円)、「AfterShokz OpenMove」(同9,999円)を試してみることにした。

仕事・自転車・ランニング、3つのシチュエーションにおける課題

今回は3つの製品について、筆者の主な用途である「オンライン会議・取材」と、「室内サイクリング中の動画・音楽鑑賞」、「屋外ランニング中の音楽再生」という3つのシチュエーションすべてにおいて、総合的にどれくらい快適に使えるか、をテーマにしている。なので、まずは筆者が各シチュエーションで何が課題と感じているのかを説明しておこうと思う。

1つ目の「オンライン会議・取材」については、再生用デバイスはデスクトップPC(Windows 10)が前提となる。ここで求められるイヤフォンの性能としては、声の聞き取りやすさも大事だが、どちらかというと長時間装着し続けたときのストレスが気になるところ。

オンライン会議・取材では外部スピーカー&マイクを使うことも多い

なぜなら、数十分程度の短い会議もあるけれど、だいたいは1時間前後、取材内容によっては1時間半~2時間にまで及び、しかもダブルヘッダー、トリプルヘッダーもありうるからだ。先日はクアドラプルヘッダーもあった。つまり4連続だ。つらい。

オンライン化で物理的な移動が不要になり、そのおかげで時間・体力は節約できるようになったものの、こうやって同じ日に会議や取材が立て続けに入ることも珍しくない。当然、その間はずっとイヤフォンを装着していることになるわけで、ストレスを感じずに長時間装着していられるかどうか、というのはけっこう重要なのだ。

2つ目の「室内サイクリング中の動画・音楽鑑賞」(連続使用時間は1時間前後)は、再生用デバイスにスマートフォン「arrows 5G F-51A」を使用する。サイクリング中の装着感のほか、大量に汗をかく状況下での扱いやすさや、サイクルトレーナーのわりと騒々しい音をどれだけ遮断して動画・音楽を聞き取りやすくしてくれるか、といったあたりが課題となる。

室内サイクリング中の動画・音楽鑑賞の快適さも追求したい

3つ目の「屋外ランニング中の音楽再生」(連続使用時間は1時間以内)は、スマートウォッチ「Garmin Fenix 6S」を使う。走っているときの振動が大きいことから、このシチュエーションではフィット感が一番大事。重すぎたり、ズレたり、耳から外れてしまいそうな不安があると、余計に気力・体力を消耗してしまう。また、屋外で走るときは近づくクルマなどの音から危険を察知するため、音楽が多少聞こえづらくなったとしても、周囲の音をある程度聞き取れた方がいいこともある。

もう1年の付き合いになるGarmin Fenix 6S。いつもこれで音楽を聞きながら走る

そして、以上3つのシチュエーションすべてを1つのヘッドセットでカバーするにあたっては、ある用途(再生デバイス)から別の用途(再生デバイス)へ移行するときに、どれだけシームレスに切り替えられるか、というのもポイントになってくる。当然ながらスポーツを想定した防水・防汗性能があることは必須。バッテリーの持続時間、充電のしやすさなど一般的な使い勝手の良さも、仕事&スポーツにおける使用感に影響するはずだ。

なお、音質については今回はあまり重視しない。仕事用途では人の声を聞くことがメインになるし、スポーツ用途ではノイズに囲まれた(またはノイズをあえて聞く必要がある)環境なので、繊細な音の違いまで聞き分ける必要性は低いからだ。もちろん「重視しない」というだけであって、音の良さはしっかりチェックしていこうと思う。

完成度の高い骨伝導「AfterShokz OpenMove」、マルチポイントにも対応

AfterShokz OpenMove

「AfterShokz OpenMove」は他2つと違い、完全ワイヤレスでも、イヤフォンでもなく、骨伝導方式を採用したワイヤレスヘッドセットだ。頭部を後方から挟み込むネックバンド型で、耳に掛け、こめかみあたりに振動板を当てることで聴覚神経に音を伝える仕組み。骨伝導ということで、耳穴をふさがずに使えるのがやはり一番の特徴だろう。

右側に電源ボタンと音量調整ボタン
左側、写真の指先で示したグレー部分は目立たないがボタンになっている。音楽の再生・停止、スキップ、着信応答などの各種操作が可能
頭部の後方から挟み込み、耳に掛ける

防水・防じん性能はIP55で、雨や汗、粉じんなどからの保護が可能となっている。対応コーデックは明らかになっていないが、使用しているチップから判断するとSBCおよびAACと思われる。ネックバンド型なので完全ワイヤレスイヤフォンのような充電ケースはなく、USB Type-Cケーブルを直接差し込んで充電する形。動作時間は最大6時間となっている。

USB Type-Cの充電端子を備える。ここにケーブルを差し込んで充電する

ところで、筆者はこれまでにも何種類か他の骨伝導タイプのイヤフォン、ヘッドセットを試したことがあるのだが、正直に言うと、あまりいい印象がない。特に耳に固定する際の微妙なさじ加減で音の聞こえ方が大きく変わってしまう不安定さが気になっていた。よく聞こえる位置にしようと思うと外れそうになるし、反対に安定する位置にするとほとんど音が聞こえない、ということばかり。

そのうえ、低音が完全に抜けたシャリシャリ音だったりもする。自分の耳に合っていない、ということなのかもしれないが、利用シーンがかなり限定されるなあ、というイメージしか持てなかったのである。が、このOpenMoveはこれまでの骨伝導のイメージをガラッと変えてくれた。

耳に掛けるスタイルにはなるが、位置調整にはある程度自由度があり、最もよく聞こえて安定する位置が簡単に探り当てられ、ビシッと決まる。サウンドとしてはやはり中高音寄りだけれど、意外なほど低音も残っている。付属の耳栓を同時に使えば低音はさらに強まり、若干こもり気味ではあるものの全体的な音の明瞭さも底上げされる。

付属品には耳栓もある。外音を聞く必要がなく、低音や全体の明瞭さを向上させたいなら活用したい

人の声の聞こえ方も自然で、オンライン会議でも全く違和感なく会話可能だ。耳穴を塞がないので周囲のノイズは盛大に入ってくるが、会議・取材中はおおよそ静かな自室内なので、子供たちが同じ部屋で騒いだりしない限り聞き取りづらさはない。

オンライン会議で使用中のイメージ
相手側からの見た目。振動板部分は厚めなので少し目立つが、気になるほどでもないかも

室内サイクリングだとペダルを回しているときのチェーンの音やギアチェンジの音がほぼそのまま耳に入るので、動画の音声や音楽はかなり聞き取りづらい。少しボリュームを大きめに調整しておく必要がある。ただ、途中で家族に話しかけられても、耳から外したりせずにそのまま受け答えできるのは楽ちんだ。

室内サイクリングで使用中のイメージ

屋外ランニングのときも、周囲の音がしっかり聞こえるので安心感は強い。耳穴をふさがない骨伝導ならではのメリットを改めて実感する。ランニング中は近くを通るクルマの排気音やタイヤノイズで音楽がまともに聞こえないときの方が多いが、このあたりは安心・安全とのトレードオフで仕方のないところだろう。

メガネやサングラスとの併用も問題なし

挟み込む力が強めということもあって、ランニング時の振動でズレることはまずない。汗をタオルで拭くときには当たりやすいので、その場合は簡単にズレて聞こえなくなってしまうけれど、指先で軽く元に戻せるので面倒とも思うこともないはずだ。

しかしながら、こめかみ付近への圧迫は常に意識する。頭のサイズにもよると思うが、他2つのインイヤータイプのイヤフォンよりも使用時のストレスは大きい。長時間のオンライン取材だと頭痛がしてくる感じもあり、筆者としては連続使用時間は1時間くらいに止めたいところ。なので、1時間程度で終わる室内サイクリングや屋外ランニングでは許容範囲内だが、それより長時間のオンライン会議・取材での使用はちょっと避けたい。

一度に長時間使うことは(筆者としては)ないので、最大6時間という稼働時間でも十分だとは思う。ただ、完全ワイヤレスイヤフォンのように充電ケースにしまうわけではなく、そのせいでなんとなく「こまめに充電しなきゃ」という気持ちにさせられる。できればネックバンド型というバッテリー容量を稼ぎやすい構造を活かして、稼働時間はもう少し長めにとってくれるとありがたかったかもしれない。

最後に1つ、他の2製品にはないOpenMoveの特徴として、2つのデバイスに同時接続できる「マルチポイント」に対応している点は見逃せない。現在では一般的になったマルチペアリングのように、複数デバイスを記憶しておける(他のデバイスと接続するときに再ペアリングの必要がない)だけでなく、マルチポイントでは実際に複数台と接続を維持できるようになるのだ。

Windows PCとスマートフォンとで同時に接続している状態

たとえば音楽再生(もしくは通話)しているデバイスでいったん再生停止した後、もう一方のデバイスで再生し始めた音楽がすぐに聞こえるようになる。ヘッドセット側で何らかの操作をする必要はない。今回でいうとOpenMoveをPCとスマートフォンの両方に接続しておき、PCでオンライン会議を終えたらすぐに室内サイクリングを一発キメる(スマートフォンで動画を見る)なんていう場合でも、PC側のBluetoothをオフにする必要がなく、実にシームレスに切り替えられるのだ。

同時に接続できるのは2台までなので、今回のようにPC、スマートフォン、スマートウォッチという3台のデバイスで活用したい、という条件だと完全には満足させられない。けれど、2台だけでも同時接続しておけると使い勝手としてはかなり違ってくる。このマルチポイントの機能だけでも購入する価値があるのでは、と思うほどだ。

それぞれに個性あふれるヘッドセット、どれを選ぶべきか

以上3つのヘッドセットを3つの用途で試してみた。筆者の望む使い勝手を、すべてのシチュエーションにおいて1つのヘッドセットで完璧にクリアすることは難しいけれども、最も重視したい用途は何なのか、どこを妥協するのか、などをはっきりさせれば、どれか1つに絞ることはできそうだ。

機能面では独自の装着センサーやノイズ抑制機能を備え、いつでもBoseサウンドを楽しめる「Bose Sport Earbuds」が魅力的。でも基本性能の高さと価格のバランスという面から見ると「NUARL N6 mini」も選択肢としては有力だ。「AfterShokz OpenMove」は長時間の使用をためらうところはあるけれど、骨伝導ヘッドセットとしての完成度、マルチポイント対応にはものすごく惹かれる。

かといって全部購入してしまうと、またも使い分けることになって元の木阿弥になるに違いない。それぞれに個性のある、なかなかに悩ましい3製品。みなさんが個人的にビビッと来たモノはあっただろうか。

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