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Tuesday, January 26, 2021

「かないわレシピ」シンプルに 漁師町の家庭料理 後世に - 中日新聞

かないわレシピを紹介する寺尾賢右さん(右)と輪嶋栄子さん=金沢市金石新町の妙覚寺で

かないわレシピを紹介する寺尾賢右さん(右)と輪嶋栄子さん=金沢市金石新町の妙覚寺で

  • かないわレシピを紹介する寺尾賢右さん(右)と輪嶋栄子さん=金沢市金石新町の妙覚寺で

まちづくり団体 取材、発信

 漁師町として栄えた金沢市金石地区で親しまれる家庭料理を後世に伝えようと、地域住民でつくるまちづくり団体「かなラボ」の寺尾賢右(けんゆう)さん(44)がレシピの取材、発信に取り組んでいる。地元の暮らしぶりがにじむ料理文化が薄れていく中、主婦らを訪ね歩き、「かないわレシピ」と名付けて紹介している。 (高橋雪花)

 小さなカレイ「ゾロガレイ」を煮付けや大根ずしに。押しずしには薄板の代わりに昆布を−。金石に伝わる独特の料理文化だ。小さかったり見た目が悪かったりして出荷できなかった魚を、さまざまな方法で調理。かつて米の代わりに食されたといわれるほど大量に取れたイワシや、北前船の寄港地だったため手に入った昆布も多く使われる。

 魚を抱えて帰ってきた漁師にすぐ料理を出せるよう、手早く簡単に作るのも特徴。しょうゆだけで煮るなどシンプルな分、魚の味わいが引き立つ。塩漬けにするなどして保存を利かせた品もある。

 寺尾さんは同市金石新町の妙覚寺(みょうかくじ)で住職を務める。元々料理好きで、檀家(だんか)の元を月参りで訪れるたび、地域の料理の話を聞いてきた。しかし、料理を知る生き字引が一人、また一人と亡くなり、核家族化も進む中、危機感を抱くようになった。「このままでは金石の宝が無くなってしまう」。二〇一八年、活動を始めた。

 寺尾さんが「金石の母ちゃん」と呼ぶ地元の主婦ら二百人を訪ねて回り、レシピを聞いた。その数、約三百品。目を輝かせた母ちゃんの話を聞き、料理の根底にある生活や自然、文化に引かれていった。料理の特徴やレシピを紹介する講座を市内各所で開催。文章などを投稿するサイト「note(ノート)」にレシピを書き留めている。

 同市金石西の主婦輪嶋栄子さん(84)は、寺尾さんにレシピを伝授した一人。「どんどん継いでいって、若い世代と一緒に料理する機会が今後あるといい」と期待を寄せる。

 寺尾さんは将来、まとめたレシピを冊子にすることも考えている。「料理を生んだ金石の人々の生活がいとおしく、キラキラしたものを感じる。金石の良さでもある独特さを伝え、次世代に守っていってほしい」と語った。

◇「note」のレシピはこちら

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