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Friday, July 2, 2021

夏でもフグ、「フグバーガー」宅配・「てっちり」ネット通販…大阪の料理店がコロナ禍の夏に挑む - 読売新聞

 フグの消費量が全国の6割以上を占めるといわれる大阪のフグ料理店が、新たなフグ料理の開発やインターネット通販の強化に乗り出した。年間の売り上げの大半を冬場に稼ぐ店が多いが、昨シーズンはコロナ禍で客足が落ち込み、廃業するケースも目立つ。店主らは「大阪の食文化を守りたい」と、知恵を絞って試練の夏に挑む。 (吉田雄人)

 6月25日、トラフグ料理専門店「玄品」を約70店展開する「関門海」(大阪府松原市)は、トラフグの身や軟骨をすり潰したパティ(具材)を使った「フグバーガー」(税込み1000円、宅配の場合)を発売した。

 コリコリした歯触りで、ポン酢でさっぱりと味付けした。店頭や宅配サービスで販売する。若者にもフグに親しんでもらう狙いだ。

 玄品の広報を担当する池田正之部長は「次の冬には客足が戻ると期待している。それまでは工夫して耐えるしかない」と話す。

 大阪・キタのフグ料理店「ふぐまる」は、フグ鍋「てっちり」の材料や、オリジナルのポン酢のネット通販に力を入れる。

 例年、11月から翌年2月に年間売上高の7割を稼ぐ。だが、昨冬は忘年会や新年会が激減し、売上高は例年の2割にも満たなかった。

 6月20日に緊急事態宣言が解除された後も、予約がない日が続く。月35万円の家賃が重荷だ。店主の大西隆裕さん(62)は「知っているだけで5軒以上が廃業した」と話す。「今は店を開けても赤字になるだけ」と話し、ネットでの「お取り寄せ」需要に期待を寄せる。

 フグ料理店の廃業は昨秋から相次いでいる。

 大阪・新世界のフグ料理店「づぼらや」は昨年9月に閉店し、創業100年の歴史に幕を下ろした。「 戴天たいてん ふぐ」を約10店運営していた「海山御坊」(大阪府藤井寺市)も今年3月、約6億円の負債を抱えて自己破産した。

 帝国データバンク大阪支社は「今夏以降、倒産や廃業が増える可能性がある」と分析している。

 フグは、大人数の宴会で提供されることも多い。だが、現在も酒類を提供する店は人数を制限するよう自治体から要請されている。

 コロナ禍は、長年親しまれた食文化にも変化をもたらしつつある。NPO法人「浪速 魚菜ぎょさい の会」の笹井良隆代表は「てっちりだけでなく、フグ業界も時流の変化に対応するときだ。新しいフグの食べ方を生みだし、次の世代につなげてほしい」と話している。

 フグは大阪を代表する高級料理として知られる。かつては大阪湾でも大量に水揚げされ、大衆に親しまれるようになった。

 1948年には大阪府が全国に先駆けてフグ調理の資格に関する条例を制定した。現在、大阪府内でフグ調理の資格を持つ人は約11万人で、東京都(約2万人)の5倍に上る。フグの水揚げ量は、養殖も合わせて8000~9000トン台で推移していたが、昨年は7000トン(速報値)と前年から2割減った。コロナ禍で外食需要が減ったことが要因とみられる。

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