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Tuesday, January 25, 2022

ゲーミングPCとの違いを見せ付けるマウスのクリエイター向けPC「DAIV Z7」をレビュー - PC Watch

DAIV Z7

 株式会社マウスコンピューターは、一般用途向けのmouseシリーズやビジネス向けのMousePROシリーズ、ゲーマー向けのG-Tuneシリーズとともに、クリエイター向けPCとしてDAIVシリーズを展開している。今回レビューするのは、そのDAIVシリーズから1月12日に発表された「DAIV Z7」というデスクトップPCだ。

 DAIV Z7の対象ユーザーは、イラストや漫画制作、デザインやDTP、映像制作や動画編集、写真編集やRAW現像、動画配信や音楽制作(DTM)を行なう人たちということになっており、同社では3DCGやCADの用途以外になら何にでも向いているとしている。その中でも特にオススメしたい用途はRAW現像や動画編集とのことだ。

 キーボードやマウスは別売りとなっており、もし必要であれば本体と一緒に購入できる。同社の製品は基本的にBTOに対応しているので、このDAIV Z7でもCPUとビデオカード以外のスペックは比較的自由に変更可能だ。このレビューで使用しているのは初期状態から何も変更していないノーマル状態のDAIV Z7である。

3DCGやCAD向けなどを除くすべてのクリエイターを対象としたDAIV Z7
ミドルタワーのデスクトップPCでサイズは約190×501×490mm(幅×奥行き×高さ)

Pコア+Eコアの2種類のCPUコアで新時代に突入したCore i7-12700を搭載

 スペックは以下の通りで、第12世代Core/Z690チップセットの最新PCとなっている。光学ドライブは搭載しないが、購入時に追加することが可能だ。

 さらに、OSにWindows 11 Proを選択できたり、Officeを付けられるほか、3.5インチHDD用のリムーバブルケースやUPSを追加できる。変わったところでは、CPUグリスの変更もできてしまう。カスタマイズの自由度がかなり高く、妥協することなく自分が欲しい構成のPCを買えるというのがうれしい。

【表1】DAIV Z7の主なスペック
製品名 DAIV Z7
モデル名 DAIV Z7(プレミアムモデル) [Windows 11]
CPU Core i7-12700(Pコア×8+Eコア×4、20スレッド、1.6~4.9GHz)
メモリ DDR4-3200 32GB(16GB×2)
ストレージ SSD 512GB(M.2 NVMe、PCI Express 4.0 x4)、HDD 2TB(SATA 6Gb/s)
グラフィックス GeForce RTX 3060(ビデオメモリ12GB)
チップセット Intel Z690
画面出力端子 DisplayPort×3、HDMI×1
主なインターフェイス USB 3.2 Type-C、USB 3.0×6、USB 2.0×2、Thunderbolt 4×2、音声入出力など
通信機能 Wi-Fi 6、Bluetooth 5、2.5Gigabit Ethernet
OS Windows 11 Home
本体サイズ 約190×501×490mm(幅×奥行き×高さ、突起部含む)
重量 約11.5kg
直販価格 25万2,780円

 スペックで特徴的なのはCPUだ。DAIV Z7は、2021年11月に発表されたばかりの第12世代Core i7-12700を搭載している。

 このCPUは、通常の処理を行なうPコア(Performanceコア)を8コアと、低消費電力で単純な処理を行なうEコア(Efficientコア)を4コア搭載するハイブリッドアーキテクチャを採用したCPUだ。Intel Thread Directorという新機能がWindows 11と連携し、PコアとEコアの得意な処理をそれぞれ適切に割り当てることで、従来よりも高効率な処理を行なえる。

 例えば動画エンコードなどの単純な処理をEコアに積極的に割り当てて、低消費電力で処理を行なう仕組みになっている。もちろんそのときにPコアをまったく使わないわけではない。また、動画エンコード以外の処理をPコアに割り当てることで、負荷をあまり意識することなく十分な性能でPCを使用できるようになっている。

 様々な作業を同時に進めることが多いクリエイターには、このPコア+Eコアで並列処理を行なう第12世代Coreは最適と言える。

CPUにはPコアとEコアという2つの異なるCPUコアを搭載する最新の第12世代Core i7-12700を採用している

 第12世代Coreの詳細についてはほかに詳しい記事があるので興味がある方はそちらを見てほしい。また、詳細なベンチマークテストの記事もあるので、第12世代Coreの具体的な性能が気になる方はそちらも参考にするとよいだろう。

 CPU以外のスペックを見てみると、GPUにはGeForce RTX 3060を搭載しており、クリエイター向けPCとしては十分な高性能なGPUを搭載している。メモリはDDR4-3200を32GB備え、こちらも余程のことがない限りは不足を感じないだろう。足りなそうな場合は購入時に64GBに増やせばいい。

 ストレージは、NVMe SSDを512GBとSATA HDDを2TB搭載している。高速なSSDと大容量HDDの組み合わせは使い勝手がよく、クリエイター向けPCに最適だ。作業はSSDで行ない、完成して更新しなくなったデータはHDDのほうに移動するという使い方ができる。

 使ってみると分かるが、SSDの速度に比べてHDDの速度はかなり遅いので、間違ってもHDD側で作業をしてはいけない。ソフトもSSDのほうにインストールしよう。

GPUはGeForce RTX 3060。クリエイター向けとしては十分な性能である。ちなみにカードはZOTAC製
メモリはDDR4-3200を16GB×2で32GB、十分な容量だ。Kingston製のメモリで搭載チップはSamsungのもの
SSDにはSamsung PM9A1の512GBモデル(MZVL2512HCJQ)を搭載。Samsungの仕様では最大リード速度6.9GB/s、最大ライト速度5GB/sのNVMe SSDだ。接続はPCI Express 4.0 x4
HDDにはWestern DigitalのWD Blue WD20EZAZを搭載。2TBのHDDで回転数は5,400rpm、256MBのキャッシュを搭載している。接続はSATA 6Gb/s

クリエイター向けPCとゲーミングPCは何が違うのか?

 スペックを見ていて思うのは、これはゲーミングPCのスペックだよなあということだ。実際、趣味でも仕事でも、クリエイターがやるような作業にゲーミングPCを使っている人はいる。

 なぜかと言えば、特殊な用途を除き、クリエイター向けPCとゲーミングPCで求められるスペックがほぼ同じだからである。また、最近でこそ増えてきたクリエイター向けPCだが、少し前までは適度に使えるスペックのPCがゲーミングPCしかなかったということもある。

 スペックが同じなら性能も同じなわけで、つまりはゲームにしても何かを制作するにしても、どちらを使っても変わりはない。クリエイターの作業にゲーミングPCを使ってもいいし、ゲーム用途にクリエイター向けPCを使ってもいい。好きなほうを使って大丈夫なのだ。

 ちなみに、多くの場合はクリエイター向けPCのほうがグラフィックス性能が弱めになっている。今では様々な処理にGPUの支援が効くようになっているが、実は支援用としてはそれほど高いGPU性能はいらない。なので、GPU性能こそが求められるゲーミングPCと違い、クリエイター向けPCが搭載するビデオカードはせいぜいミドルレンジ程度のものとなっている。

特定用途向けを除いた、DAIVシリーズのデスクトップPCラインナップ。このようにクリエイター向けPCのビデオカードはゲーミングPCのものより低めのものを搭載している

DAIV Z7のクリエイター向けPCらしい部分とは

 一般的なクリエイター向けPCとゲーミングPCが実は変わらないことが分かったところで、ではクリエイター向けPCとは何なのか。その違いをこのDAIV Z7で見てみよう。

 まずは見ての通り本体のデザインが違う。DAIV Z7は光らないし、中は見えないしでシンプルだ。ゲーミングPCとは正反対のデザインで、飾り気が何もない。勝利をつかむために、戦うロボットをモチーフにしてデザインしました、なんてこともない。クリエイター向けPCは誰とも戦わないのだ。

業務用PCのような雰囲気を感じるシンプルなデザインのDAIV Z7。前面の電源LEDとストレージアクセスLEDの2つは光るが、ほかに光るところは1つもない。飾り気がない硬派なデザインだ
左の側面パネルにはメッシュ状の吸気穴と、内部に120mm角の吸気ファンが付いていて、ビデオカード周辺のエアフローを確保している。見た目よりも効率の良い冷却性を重視していて、クリアパネルが多いゲーミングPCとはこの辺りも違う

 本体の前面には5インチのオープンベイを3つと、3.5インチのオープンベイを1つ備えている。オープンベイの搭載も、最近のゲーミングPCではなくなってきているもので、クリエイター向けPCならではのものと言える。オープンベイには購入時に光学ドライブやリムーバブルHDDケース、カードリーダなどを搭載可能だ。

 リムーバブルHDDケースはオススメで、3.5インチHDDをUSBメモリのような抜き差しできる記録メディアとして使うことができる。内蔵ストレージのバックアップ用としても便利だし、内蔵ストレージがいっぱいになったときのデータ移動先としても使える。なお、リムーバブルHDDケースの追加費用は3,740円だ。

 ゲーミングPCの場合には、VRヘッドセット用として前面にHDMIを搭載していて、ゲーム用途ならではの特徴としている製品がある。しかし、DAIV Z7の場合でも前面にオープンベイがあるので、市販のオープンベイ用HDMIパネルを追加すれば同じことができてしまう。このような拡張性の高さも、クリエイター向けPCであるDAIV Z7の特徴だ。

前面はすべてメッシュ状の全面吸気に見えるが、実は上半分は磁石でくっつくカバーになっており、取り外すと中からオープンベイが現れる
オープンベイは5インチベイ×3と3.5インチベイの構成。取り外したカバーはこのように下半分の部分に取り付けておくことができる

 背面にはThunderbolt 4を2ポート搭載しており、外付けの高速SSDなどを使用できる。Thunderbolt 4ポートを搭載しているゲーミングPCはあまりなく、これもクリエイター向けPCであるDAIV Z7ならではの特徴だ。

 この2ポートは画面出力もサポートしており、対応ディスプレイを接続することもできる。なお、DAIV Z7がサポートするマルチディスプレイの数は4画面までとなっている。

背面にはThunderbolt 4(刻印はUSB 4.0 Type-C)×2を搭載。隣にあるDisplayPort(同DP)×2は入力用で、Thunderbolt 4から画面出力をしたい場合には、ビデオカードの出力とこのDisplayPortを接続して使用する
Thunderbolt 4を画面出力用として使う場合に使用する、DisplayPort to DisplayPortの短いケーブルが1本付属している。端子部を含まない実測で長さは約310mm

 以上が、DAIV Z7のクリエイター向けPCならではの部分だ。こうして挙げてみるとそれほど多いわけではないが、やはりゲーミングPCとは明確に方向性が異なっており、クリエイターが使いやすいように作られていることが分かる。

DAIV Z7の各部を写真で紹介

 ここまではDAIV Z7のクリエイターPCならではの部分だけを取り上げたので、ここからはそれ以外の特徴について写真を中心に紹介していく。

 まずは、DAIV Z7を見た人が誰でも気になるであろう部分。そう、取っ手だ。

本体の上下に取っ手が付いている個性的なデザイン。この取っ手は飾りではなく本当に持ち運び用の取っ手で、デザイン上のワンポイントとしてだけでなく実用性も兼ね備えている

 本体正面の上下に取っ手のようなものが付いているが、これはもうそのまんまのもので、持ち運び用の取っ手である。内側はラバー加工がされていて手触りもよく、使用時には手にやさしい。取っ手への強いこだわりを感じる作りだ。

 そして、なんと本体底面の後ろには車輪まで付いている。正面の取っ手を持って前のほうを持ち上げると、後ろの車輪でコロコロと楽に本体を移動できるのだ。移動させやすいように付けたということだが、普通はそんなに頻繁に移動しないし、こんなものいらないだろうと思っていた。ところが、本体を机の下に設置するときにこれが早速役に立ってしまった。

 まず、取っ手が付いているので持ちやすい。また、本体を机の下の奥に押し込むときに、本体の手前を少し持ち上げるだけで、するすると片手でラクラク設置することができる。本体の手前を床に下ろすとしっかりとした設置感があり、車輪が付いているからといって本体がすぐに動いてしまうということはない。背面の配線をするときには、またするするっと前に移動し、終わったら戻す。

 取っ手も車輪も、これは意外に便利だ。ちなみに車輪のほうは購入時に無料で通常の足に変更することもできる。最初に見たときは不要だと思ったが、付いていても付いていなくても価格が変わらないのなら、絶対にあったほうが便利である。

底面の後ろには車輪が付いている。通常の使用環境では使用頻度は低いと思うのだが、あるのとないのとどちらがよいかと言われれば、絶対にあるほうがよいと思うほどには便利なものだ

 PCの内部には背面のネジを2本外すだけで簡単にアクセスできる。内部構造は自作PCと何ら変わらないので、SSDやHDDの増設や拡張カードの増設も自作PC経験者なら難なく行なえるだろう。

 マザーボードはMSIのPRO Z690-P(MS-7D36)で、メモリスロットの空きは2スロット、拡張スロットの空きはPCI Express 3.0 x1が3スロット、M.2の空きは1スロット、SATA 6Gb/sの空きが3ポートとなっている。また、PC内部のシャドウベイの空きは、3.5インチが1基で、3.5/2.5インチ共用が3基だ。

 CPUクーラーは120mmサイズの簡易水冷CPUクーラーで、どこのメーカーのものかは分からないが、形状からAsetekの第6世代簡易水冷のリファレンスだと思われる。ビデオカードはスペックの紹介のところでも触れたが、ZOTACの2スロット占有で背面排気のシングルファンクーラーを搭載したカードだ。

 ポートはDisplayPortを3ポートとHDMIを1ポート備えている。市販されている製品の中に同じ形状の該当するビデオカードはないため、BTOや組み込み向けの製品だと思われる。

前面の下半分はファンを搭載しない吸気口になっていて、パネルを開けると中にダストフィルタが入っている。簡単に外せるので掃除が簡単だ。ただし、ゼロではないが実際にはほとんどここからは吸っていないのであまり汚れることはなさそう

最新構成のクリエイター向けPCらしい高い性能を発揮

 最後にベンチマークテストの結果を見ていく。クリエイター向けPCなのでゲーム系のテストは不要とも思ったが、硬派なゲーミングPCとしても優秀そうなのでゲーム系のテストも行なってみた。すべてのテストは1,920×1,080ドットで実施している。

 テストとともに温度や動作音も見てみたが、冷却性能はかなり優秀で、静音性は一般的なレベルといったところ。室温20℃で高負荷状態を1時間程度続けた場合、CPU温度は最高で66℃、GPU温度は最高で77℃だった。

 また、Webブラウザや写真の表示、テキストエディタの使用などの通常使用時で、CPU温度は最高で40℃、GPU温度は最高で37℃である。アイドル時は、CPU温度が最高で23℃で、GPU温度は最高で27℃だった。このPCの冷却性能が高いこともあるが、さすがは最新のCPUで、アイドル時の温度が室温+3℃なのは低過ぎて、ちょっと驚いた。

 動作音は、アイドル時と通常使用時は耳を近付けなければ聞こえないレベルで、机の下に置いてあるとまったく聞こえない。基本的には机の下に置くタイプのPCだが、机の上にも置いてみたところ、動いているのが分かる程度の音で、特に動作音が気になることはなかった。

 ただし、高負荷時には左の側面パネルにある吸気穴からファンががんばっている音がバッチリ聞こえて、机の上で使い続けると少々ストレスを感じるかもしれない。机の下に置くと、音質が低音ということもあってすごく気になる程の音ではない。静音とは言えないが、うるさいとは感じないレベルだ。

 では、ベンチマークテストの結果を順番に見ていこう。

 まずはUL Benchmarkの「PCMark 10 v2.1.2532.0」だ。PCMark 10では、クリエイター向けPCの実力、そしてPCのトータル性能をテストすることができる。全体的に高いスコアを出しており、マウスコンピューターが言っている位置付けの通り、オールマイティに高い性能を出せるPCと言える。

 突出して高いスコアを出しているのは、ソフトの起動時間を測るApp Start-up Scoreと、写真の加工編集の性能を見るPhoto Editing Score、OpenGLを使用してレイトレーシングによる3DCG処理を行なうRendering and Visualization Scoreの3つ、あとはゲーム系も高い。

 この辺りはさすがクリエイター向けPCということで、いわゆるクリエイティブな作業を快適に行なえることを証明するスコアとなっている。

【表2】PCMark 10 v2.1.2532.0の結果
PCMark 10 Extended Score 10,052
Essentials 11,756
App Start-up Score 20,160
Video Conferencing Score 7,439
Web Browsing Score 10,834
Productivity 10,578
Spreadsheets Score 12,915
Writing Score 8,665
Digital Content Creation 12,689
Photo Editing Score 14,496
Rendering and Visualization Score 17,815
Video Editting Score 7,913
Gaming 17,486
Graphics score 22,031
Physics score 35,324
Combined score 10,634

 続いてはMaxonの「Cinebench R23.200」と「Cinebench R20.060」のテスト結果だ。CinebenchではCPUのレンダリング性能を見ることができる。R23のほうはテスト時間が長く、高負荷状態が続いた場合の熱の影響が加味されたテストになっている。DAIV Z7でもクリエイター向けPCとして十分な性能は出ている。

 Intel CPUの特徴として、AMD CPUよりもコア数のわりにマルチコアの結果が上がらないというのがあり、このCPUでも同様の結果である。その分シングルのスコアはかなり高いのだが、実質12コアのわりにはマルチのスコアが伸びていない。

 気になって再度テストを実行してCPUの稼働率を見たところ、ちゃんと12コアすべてのコアがほぼ100%になっていた。しかし、マルチのスコアはシングルのスコアの8倍程度に留まっており、これは8コアのPコアが主にがんばって、4コアのEコアがあまり貢献していないのではないかと思われる。Core i7-12700は12コアCPUなのではなく、8+4コアCPUなのだ。とは言え、十分な性能が出ているので使用する上で問題はない。

【表3】Cinebenchの結果
Cinebench R23.200
CPU(Multi Core) 15,395
CPU(Single Core) 1,897
Cinebench R20.060
CPU 6,764
CPU(Single Core) 730

 ストレージのテストはSSDだけでなくHDDのテストも行なった。使用したベンチマークソフトは「CrystalDiskMark 8.0.4」だ。SSDは、公称値で読み出し速度最大6.9GB/s、書き込み速度最大5GB/sのNVMe SSDなのでさすがに速い。ほぼ公称値通りの値が出ており、これなら大きなデータの読み書きも快適に行なうことができ、クリエイター向けPCに最適なSSD性能と言える。

 一方HDDのほうは、SSDと比較にならないことは当然としても、それでも少々残念な結果になっている。前述したように、クリエイター向けPCで高速なSSDと大容量のHDDを搭載している場合、作業はSSDで行なって、すでに完成して編集を行なわないデータはHDDのほうに移動するという使い方をする。なので、HDDに求められる性能は容量であって速さではない。というわけで、実用上はこれくらいの性能でも何ら問題はないだろう。

CrystalDiskMark 8.0.4の結果(SSD 512GB、NVMe SSD設定)
CrystalDiskMark 8.0.4の結果(HDD 2TB、デフォルト設定)

 最後はゲーム系のベンチマークテストだ。使用したソフトは、UL Benchmarkの「3DMark Professional Edition v2.22.7334.0」と、スクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」である。

 おまけとして行なったテストだが、解像度がフルHDということもあり、スペック通りのなかなかよい結果を出している。3DMarkの結果は良好だし、ファイナルファンタジーXIVの結果はすべてのテストで「非常に快適」に分類されるスコアである。DAIV Z7はゲーミングPCとしても快適に使えるということだ。

【表4】ゲームベンチマークテストの結果
3DMark Professional Edition v2.22.7334.0の結果
Night Raid Score 60,356
Night Raid Graphics Score 100,964
Night Raid CPU Score 18,406
Wild Life Score 52,405
Time Spy Score 9,223
Time Spy Graphics Score 8,614
Time Spy CPU Score 15,403
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークの結果
1,920×1,080ドット最高品質 21,368
1,920×1,080ドット高品質(デスクトップPC) 22,682
1,920×1,080ドット標準品質(デスクトップPC) 30,870

クリエイターにもゲーマーにも最適な1台

 マウスコンピューターがクリエイター向けPCと言っているのだから素直にそういう方向に持っていけば良いのだが、スペックはゲーミングPCと同じわけなので、やはりそちらの可能性も考えたくなってしまう。許してほしい。

 DAIV Z7は、取っ手があるデザインや、オープンベイの拡張性、Thunderbolt 4の搭載など、クリエイター向けPCとして使いやすい要素を多数備えている。Pコア+EコアのハイブリッドアーキテクチャCPUや、高速なSSDと大容量のHDDの組み合わせなど、スペックもクリエイターに最適なものだ。そして同時に、光るPCがあまり好きではない人向けのゲーミングPCとしても大変魅力的な製品となっている。

 このシンプルかつ個性的なデザイン。そして最近ではめずらしい多数のベイによる優れた拡張性。この2つの要素に引かれるのなら、クリエイターの方もゲーマーの方も、どちらの方も検討に値するPCと言えるだろう。

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