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Wednesday, December 7, 2022

あのZOWIEがついにワイヤレスゲーミングマウスに参入! 「ZOWIE EC-CW」詳報 - GAME Watch

 BenQのゲーミングブランドZOWIEは12月7日、都内にて記者発表会を開催し、新型ゲーミングマウス「EC-CW」を正式発表した。

 発表会の内容は、表向き11月16日に発売した360Hz対応のゲーミングモニター「XL2566K」の紹介だったが、発表会の後半でサプライズ的にゲーミングマウスが発表された。ただし、製品名、発売日、価格のアナウンスはなしで、スペックシートも非公開と異例尽くしの発表となった。

 発表会ではさらっとしたアナウンスに留まり、そのままeスポーツアスリートたちの「CSGO」BOT撃ちトーナメントに移ったが、我々ゲームメディアをときめかせるに十分なゲーミングマウスだった。

【ZOWIE発表会】

説明を担当したBenQ本社のChris Lin氏
ワイヤレスマウスの制作過程、こだわりは紹介されたが、肝心の製品名すら出てこない不思議な発表会だった

 現場で判明した事実を列記しておくと、ベースとなっているのは、現行の有線モデルZOWIE EC-Cで、製品名には新たにワイヤレスを意味するWを付与している。サイズはL、M、Sの3種類で、カラーはブラックとなる。本体デザインはEC-Cを踏襲しつつ、よりエルゴノミクスデザインを極めた新金型を採用。よりグリップしやすく進化している。充電はバッテリー内蔵で、使用後は標準装備の充電ドックに収めておけば次回フル充電で使える仕組みだ。

 センサーやスイッチ、重量、バッテリー容量等、内部情報についてはまるっと非公開。使ってみた感じはEC-Cから大きく変わった印象はないが、重量のみ、無線パーツを内蔵した影響でやや増加した印象。いずれにしても、今回発表会に配置された9台のEC-CWはいずれもプロトタイプということで、実際には今後さらに変わってくる可能性がある点に注意したい。

 「EC-CW」のワイヤレスゲーミングマウスとしての最大の特徴は、充電ドック機能を備えたレシーバーの存在だ。「Enhanced Wireless Receiver」と名付けられたレシーバーは、ワイヤレスゲーミングマウスのレシーバーとしては見たことがないような巨大さで、まるでロボット掃除機の充電ステーションのようなインパクトがある。

 このレシーバーが凄いのは、ワイヤレスゲーミングマウスでもっとも重要となる無線接続、その安定性とパフォーマンスを、大幅にブーストしてくれるところだ。発表会で強調していたのは、eスポーツ大会やLANパーティー等、多数の無線が飛び交う環境での悪影響の無さだ。

【Enhanced Wireless Receiver】

Enhanced Wireless Receiverを標準装備しているところが大きな特徴となる
スタイリッシュなデザイン。手前の端子に繋ぐことで充電できる
背面

 デモでは、内側にメタリックなアルミ常着シートを貼ったソフトタイプの保冷バッグの中に、ルーター、スマートフォン、そして3台のワイヤレスマウスのレシーバーを設置し、あえて無線負荷をムキムキに高めた環境で、どれだけ悪影響を受けずに本来のパフォーマンスを発揮できるかを検証。

 比較対象としてチョイスされたゲーミングマウスは、ZOWIEの「EC-CW」、ロジクールGの「PRO Xマウス」、Razerの「Deathadder V3 Pro」の3台。レシーバーは、いずれも標準のUSBドングルで、EC-CWのみ「Enhanced Wireless Receiver」を使用した状態となる。

【デモ】

無線負荷を高めた環境でデモが行なわれた
中の様子
左より、ロジクールG「PRO Xマウス」、ZOWIE「EC-CW」、Razer「Deathadder V3 Pro」

 各マウスで円を描くように操作すると、PRO XやDeathadderでは、うまく円が描けず、途中で引っかかったり、明後日の方向にカーソルが飛んでしまったりなど、正常に動作できない状態だったのに対し、EC-CWは通常時と変わらないパフォーマンスで綺麗な円が描けている。レポートレートも安定してほぼ上限の1,000を維持している。すなわちこのデモは、ロジクールGのLIGHTSPEEDや、RazerのHyperSpeed、両社のワイヤレステクノロジーをZOWIEは圧倒的に凌駕しているといいたいわけだ。

【デモ結果(筆者による独自テスト)】

ロジクールG「PRO Xマウス」
Razer「Deathadder V3 Pro」
ZOWIEの「EC-CW」

 ゲーミングマウス担当としては、ロジクールGについては第2世代LIGHTSPEEDを採用したG502 X PLUS/LIGHTSPEEDで検証すべきだし、Razerはレポートレートを最大8倍に引き上げるオプションパーツ「Razer HyperPolling Wireless Dongle」で比較すべきで、「比較対象がフェアではないですよ」と釘を刺しておきたいところだが、ここで重要なのは、何を比較対象に持ってこようが、タフな無線環境において「EC-CW」と「Enhanced Wireless Receiver」の組み合わせが最強だったという事実は揺るがないということだ。

 筆者は念のため、EC-CWをあえて従来型のUSBドングルに接続し直してデモを実際に試してみたが、PRO XやDeathadderほどではないが、遅延や引っかかりは発生した。つまり、このレシーバーは確かに効果があるわけだ。元FPSプレーヤーの担当者は「私だったら常にこのレシーバー(Enhanced Wireless Receiver)を持ち運んで使いますね」と語っていたが、確かにそうしたくなるレシーバーだ。EC-CW単体で、PRO XやDeathadderに勝るとも劣らない安定した無線通信を実現しつつ、さらにレシーバーでライバルを突き放す。極めてユニークなプロダクトだ。

【無線負荷テスト ロジクールG「PRO Xマウス」】

【無線負荷テスト Razer「Deathadder V3 Pro」】

【無線負荷テスト ZOWIE「EC-CW」】

 ZOWIEファンとして気になるのは価格だろう。ここが高かったらプロダクトとしての魅力はグッと下がってしまう。ZOWIEのゲーミングマウスは、シンプルなデザインに、ゲームプレイに必要十分な3200 DPI、そして有線特化ということで、ゲーミングマウス界でも指折りのコスパを誇っている。当然このEC-CWもあまり高くできないところだろう。無線モデルは有線モデルのだいたい倍というのが相場だが、「EC-CW」の場合、携帯用のUSBドングルに加えて、目玉アイテムである「Enhanced Wireless Receiver」が標準装備となる。単純計算だと2万円を超えてきそうだが、果たしてどうなるのか注目したい。

 発売時期は2023年第1四半期としているが、早くて2月、現実的には3月が堅いとみられる。ZOWIEファンはもちろんのこと、多くのFPSファンから引っ張りだこの人気モデルになることが予想されるため、安定した生産体制、十分な在庫を確保した上での発売になるはずだ。細かいスペックが不明なところに一抹の不安があるが、まずはワイヤレスゲーミングマウス界に、突如強力なライバルが誕生したことを素直に喜びたい。発売が非常に楽しみな1台だ。

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