こんにちは。
バンコクのボンゴロッソ大森です。日本ではうららかに桜も咲いてる頃ですね。出会いと別れが行き交う季節いかがお過ごしですか?
いつもは南国の穏やかなムード満点でお伝えしているこちらの連載ですが、今回ばかりはちょっとピリリと緊張しています。今、軟禁状態のコンドミニアム(賃貸住宅)の一室でこれを書いていますが、バンコクではコロナウイルスの流行で自宅作業するサラリーマンが急増中。また3月いっぱいは外食店がすべて営業停止しており、ゆったりと外食を楽しむこともできません。お店はテイクアウトのみ稼働で、パンダのマークやGRABのマークをつけたバイク便がひっきりなしに街を行き交っています。
異国の不自由ばかり書き連ねてもしょうがないので、今これを読んでくださっている日本のみなさんの元に、完全テレポテーションで寄せていきたいと思います。季節の変わり目、風邪などひいていられませんものね。
「ただいまおかえりはらへった。てあらいうがいさあごはんつくろ(一人暮らしの帰宅時のあいさつ)!」
タイ王国の宮廷料理、トムヤムクンはすっぱ辛い高貴な寄せ鍋
トムは茹でる、ヤムは混ぜる、クンはエビ。「エビの寄せ鍋」的な意味合いを持つトムヤムクンは、一説ではタイ王国が外国人向けにおもてなしの宮廷料理として開発したスープだともいわれています。
海鮮系で少し酸味がある濃厚なスープと言えば南フランス料理の「ブイヤベース」や仏料理の「エビのビスク」ですが、トマト+海鮮という意味ではトムヤムクンに酷似しています。また、貴州料理「酸湯魚」も、主材料は魚ですが、馬告(マーガオ)というレモングラス的なスパイスと発酵トマトを使うためトムヤムクンに近い味わいの料理です。宮廷料理が開発された際はこうした洋の東西各国料理の要素が持ち込まれたのではないかと推測します。
現在バンコクのトムヤムクンで有名なレストランで出されるものは、あっさりして澄んだスープの寄せ鍋風のものか、エビ味噌の出汁をしっかりとってココナツミルクなどと併せビスク風の濃厚な味付けにしたものかどちらかであることが多いようです。
バンコク中華街の、猛烈にうまい濃厚トムヤムの話
筆者は、バンコクの中華街・ヤワラートエリアで、偶然うまいトムヤムに会いました。何気ないストリートフードとして安価(たったの60THB)で提供されたそれは、ほぼ仏料理のような洗練された味わいだったのです(お店の名前は最後に書きますね)。エビとイカに絶妙に火が通っていて、具がごろごろ入っていて、ミルキーで味の濃いスープ。乳成分はココナツミルクではなく牛乳を使っているようでした。その上にまとわれた犯罪的に馨しいタイハーブの応報。これでもか!これでもか!と何重にも重なり合い、第一の香り、第二の香り、第三の香りと、一口かじり二口飲みこむごとに違うものが感じられ、理性をびゅんびゅん吹き飛ばします。レモングラス、バイマックルー、パクチーファラン、コブミカンの皮と汁…いちいち要素を分析するのさえ野暮に感じられるほどの強烈なハーモニーがガツンガツンと脳を攻めてきます。「人類すべての本性を丸裸にし、野生に還らせてくれるナニカはきっとこれだ。やられた!」と降伏するほどに(笑)強烈にして鮮烈な経験です。
バンコクではトムヤムの具だけ引き上げ、酒のつまみとして食べる派が主流
道行く人のテーブルを見ると、みんなトムヤムを頼んでます。そしてどのひとも朗らかで浮ついたでかい声で喋っています。欧米人を中心にビールを片手にスープ料理の具だけつまんで食べるスタイルをとっているのです。ただひたすらにのんびりと時間を忘れ思う存分おしゃべりを楽しみながらトムヤムを食べるひととき。
「ああ。幸せ…」
このロケーション…背筋が伸びるような文化的発見、グルメガイドにも載ってない行き当たりばったりでここをみつけちゃったこと、夕闇迫る生ぬるい空気…すべて目の前で起こっている偶然に、あとは黙って食え。もう何も言葉でいうことが許されないような素晴らしい味でした。
日が沈みかけるタイミングで提供されたトムヤムは、食べ終わったころには辺りは真っ暗でした。何分ここにいたんでしょう。さまざまな色のライトが灯り始めます。街が色づいてきて、それと呼応して自意識過剰な私の自我もちょっとずつ薄れていきます。
「この料理作った人もうほんと凄い!」
お酒のテンションもせっせと筆者を手伝い、デュオニソス降臨です。何も怖くありません。とにかくこの料理の感動を伝えたくて、勢いでシェフを呼んで、写真まで撮らせていただいたほどに。
風邪をひく前に、トムヤムクンでぽかぽかに温まりましょう
ぜひ日本の皆さんに提案したいのは、トムヤムクンの薬膳的な食べ方です。
「なんかちょっと風邪をひきそう」「何も予定のない週末にどっと疲れが来そうな気がする」
そんな予感を感じたら、迷わずトムヤムクンを作ってください。ウイルスの騒ぎで、ますます人前でせき込んだりできないこのご時世、体調を自己管理できるすべを何か持っておくのは令和時代を生き抜く術かもしれません。私が貴方にタイ王国秘伝の翼を授けましょう。
トムヤムクンにはショウガがたっぷり使われています。「俺、ショウガ苦手派…」結構男性に多いのですが…出来たら入れてください。身体を芯から温めてくれる大事な作用があるからです。チューブに入ったものでも構いませんが、出来たら丸ごとのを買ってきて輪切りにして入れてください。ショウガまるごとはなかなか一人暮らしだと使い切らない食材だと思いますが、この料理には半分以上使ってしまって大丈夫です。お好きなら全部入れてもOKなくらいです。たっぷり使いましょう。
味噌汁を作ったことがあれば楽勝 ものすごく簡単に作れる薬膳風トムヤムクン
今回は、文中ご紹介したつまみにもなる濃厚トムヤムではなく、あっさりとしていてスープがごくごく飲めるタイプの「簡単に作れる薬膳風トムヤムクン」のレシピをお伝えします。レシピの文中ちょっとマニアックなタイ食材、レモングラスとかコブミカンの葉とか出てきますが、なかったら代用品でも大丈夫です。これらは基本的には柑橘系の香りの要素なので、こたつの上にほったらかしてありそうな「みかんの皮」やレシピで果汁を使用する「レモンの皮」でも代用可能です。良く表皮を洗浄して使ってください(ただ、柑橘類の皮はずっと煮てると苦みが出るので、ココナツミルクを入れる前に取り出してくださいね)。
たった3ステップ!切って煮るだけの簡単に作れる薬膳風トムヤムクン
【材料】1~2人前 調理時間10分
・むきエビ…100g
・キノコ類(お好きなキノコを何でも)…一袋
・レモングラス…1本
・コブミカンの葉(なければミカンやレモンなどの柑橘類の皮を2分の1個分)…3枚
・しょうが…半分(5㎜くらいにスライスして10枚)
・ライムかレモンの汁…小さじ1
・チキンスープ(固形スープを既定の分量で溶いたもの)…1カップ
・トマト…半分(1/4のくし形に切る)
・パクチー、葉ネギ…適宜
・チリペースト…適宜
・ココナツミルク(なければ牛乳)…大さじ2
・プリッキーヌ(鷹の爪を水で戻したもので可)…適宜
【作り方】
・鍋にレモングラス(叩き潰す)、ショウガ、コブミカンの葉(手でちぎる)、キノコ、プリッキーヌ、トマト、チキンスープを火にかけて沸騰させ、野菜が柔らかくなるまで煮る
・ココナツミルク、ライム汁、チリペーストを加える
・器に盛り、パクチーと葉ネギを乗せる
※濃厚トムヤムにしたい場合は、魚介類を有頭エビ、輪切りのイカ、鶏肉などに変更。数種類の具材組み合わせても可。ココナツミルクの代わりに牛乳を使うとよい。ハーブも、パクチーファランやバジル、ディルなど、食材に合わせお好みで適宜追加する。有頭エビの場合、そのまま使ってもよいが、頭と皮を外して、頭を半分に割り、香ばしく炒めてからスープを足す方法にするとエビ味噌の出汁がでるので大変よい。「エビの粉」があればスープに加えると更に濃厚さが増す。最後にバターやギーを加えるのもおすすめ。食事の際は米や麺と併せていただく。
取材・文/マダム・ボンゴロッソ大森
"スープ" - Google ニュース
March 27, 2020 at 04:33PM
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ぽかぽかに温まる!タイ王国宮廷料理のすっぱ辛い快楽薬膳スープ「トムヤムクン」の作り方 - @DIME
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