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Saturday, January 16, 2021

ロバート馬場裕之が語る、料理家としてのこだわり 「料理に“こうしなきゃいけない”はない」 - リアルサウンド

 お笑いトリオ・ロバートの馬場裕之が、3冊目の著書となる『ロバート馬場ちゃんのキッチンmemo いつもの料理が”パッと”おいしくなる魔法』を発売した。

ロバート馬場ちゃんのキッチンmemo いつもの料理が“パっと"おいしくなる魔法
『いつもの料理が“パっと”おいしくなる魔法』

 人気料理家として躍進し続ける馬場ならではの”おいしい知恵”が凝縮した本書。「おいしくなる魔法」「おいしさを保つ魔法」「魔法のレシピ」の三章には、栄養学や科学的な視点で綴られた料理雑学や調理のノウハウや応用レシピがふんだんに盛り込まれ、キッチンに常備しておきたくなる実用的な一冊となっている。

 今回のインタビューでは、馬場の少年時代の料理ルーツから、自宅のキッチンや外食事情、近い将来の夢まで、「食」を軸にとことん語ってもらった。(大信トモコ)

手軽でおいしいレシピの裏には調味料へのこだわりが

ロバート馬場裕之――YouTubeの『馬場ごはん』の動画やライブ配信を拝見しているんですけど、どのレシピ動画もすごくわかりやすいです。やっぱりコンセプトは、動画を観ただけで家で簡単に再現できるもの、というのが前提になっているんですか?

馬場:そうですね、どこの家にもありそうな食材を使って料理を紹介しています。本当は世界のスパイスを使ってみたり、上級者向けにも、やってみたいんですけどね。

――実際に馬場さんレシピの油そばを作ってみたら、家にある調味料でサクッと作れて、すごく美味しかったです。基本の調味料にはこだわっていますか?

馬場:醤油や塩、お酒とかみりんなどよく使う調味料は、なるべくいいものにしています。調味料を意識するだけで基本の味が全然違うじゃないですか。お気に入りの調味料を見つけるのが、自分の味を作ることなんじゃないかなと思っています。例えば醤油でも、ちょっといいものって結構高いじゃないですか?

――確かに、ひと瓶800円とかだと、高いなって思っちゃいます。

馬場:高いですけど、一回に使う量を考えると、たった何円とかなんですよ。それだったら、よりおいしいものを買ったほうがいいと思っています。そういう細かいところにこだわったほうが、僕はおいしいものができると思うんです。

――調味料にこだわることは、簡単においしく作るための近道ですね。

馬場:レシピと同じ食材・同じ分量で作ってもうまく出来なかったら、そこを見直してみるのもありなんじゃないかと。例えば塩だと、しょっぱくなっちゃうのは、粒が小さい食卓塩を使っているからとか。粗めの粒の塩とはまた分量も違ってくるので。とはいえ、一人暮らしだと、醤油買っても使い切れなかったりするんで、難しいところですよね。でも色々合わさった調味料を使うのも全然アリですよ。

――馬場さんも麺つゆなどを使われますもんね。

馬場:はい、使います。そういうのを使わず全部イチから作るってなると、皆さんも作りづらいかな?と思っちゃうんで。ああいう便利なものは活用したほうがいいと僕は思いますね。

――大きく書きたいです(笑)。ネットで「うちの奥さんが麺つゆで料理する」ってボヤきを見たりすると、「この人イチから出汁とったことあるのかな?」って思うことがあります。

馬場:ほんとね。毎日の食事となるとイチからやってる時間はないし、お店のような分量を作るわけでもないんで、結局コストも高くなる。そういった手間のかかった“こだわりのもの”が食べたければ、外食すればいいんですよ。

外食では好きなものをとことん楽しみたい

ロバート馬場裕之――自炊のイメージが強い馬場さんですが、外食は結構されるんですか?

馬場:します! いわゆる高級店は人に連れてってもらうことが多くて、自分で行くのは大衆店。同じようなものを食べるのが好きです。

――好きなものを何回も食べて、あまり冒険はしないと。

馬場:そうですね。居酒屋だと一皿に少量しか出てこなかったりもするじゃないですか。それを大量に食べたくて自分で作ったりすることがありますね。

――小鉢で出てきたおつまみとか。

馬場:そうです。気に入ったらひたすら同じものを食べたいんです。お店だと、何個も頼むと値段も高くなるし、味は変えられない。でも家で作ると自分の好みの味つけにして、“味変”も自前の調味料でできる。

 例えば、鶏の軟骨をひたすら軟骨ポン酢にして食べたい場合、薬味を自分で色々切っといて、薬味を足していって食べたりします。まずはオイルを入れて、次は山椒って、どんどん味を変えていきながら。好きなものをとにかく大量に食べたいタイプなんで「痛風になんないかな?アレルギーになんないかな?」と思うぐらい食べちゃいますね。

――ちょっと背徳感が漂う食べ方ですね。

馬場:それで言うと、僕は回転寿司がすごく好きです。高級寿司店に行くと、一連の流れでお寿司が握って出されますよね。もちろんそれはおいしいんですけど、回転寿司って自分の好きなネタをひたすら食べられるじゃないですか。回転寿司の、自分でチョイスできる点がすごい好き。ホタテばっかり頼んだり、タコの吸盤だけとか、数の子だけとか。高級寿司店だとなかなかそれだけってチョイスできないけど、回転寿司だと遠慮がいらないから(笑)。

――自分だけの寿司の楽園みたいな。

馬場:自分のポジションでお茶も注げるし、焼酎を頼んで、緑茶割りを作ることもありますよ。

――お湯とお茶パウダーを使うんですね。ファミレスで焼酎のボトルとドリンクバーを頼んで、ウーロンハイを作って飲んだことはありますが。

馬場:それとおんなじです(笑)。蕎麦屋で蕎麦焼酎頼んで、蕎麦湯で割るっていうのもやりますね。蕎麦の栄養素ってお湯に流れ出やすいんですよ。つまり、焼酎飲みながらも蕎麦の栄養が摂れて、お腹もたまっていく、飲ん兵衛には一石三鳥なんですよ。

――外食でも豆知識が飛び出しますね。今回の本で紹介されている知識は、普段の食生活から得たものですか?

馬場:そうですね、今はネットを見てるだけでも色々な情報が飛びこんできますよね。それを実践して、プロの方にもチェックしてもらって掲載したものもあります。本の後ろに、参考文献だけじゃなくて参考にしたWebサイトもまとめて載せています。

麻婆豆腐をイチから作った小学生時代

ロバート馬場裕之――馬場さんが料理に目覚めたきっかけを教えてください。

馬場:もともと好きで料理はやってたんですが、1人暮らしで上達していきました。パスタの麺は安いけど、どうやっておいしく食べよう?って考えて、同じように安いトマトジュースを買ってきてソースを作るとか。限られたお金で満腹になりたい! っていう気持ちが大きくて、色々挑戦できたのかもしれないですね。

――インプットはどうされていたんですか?

馬場:『きょうの料理』とかテレビの料理番組をよく見ていました。そこで得た知識を「これはアレにも使えるな」って他の料理に応用することが多いですね。『ためしてガッテン』も科学的な情報が織り込まれてるじゃないですか。それを応用してまた別のものができた時に感動がある。「小麦粉使わず米粉でとろみ出るなあ」「ということは煮込みが大変なサムゲタン時短できるなあ」って具合に。応用を重ねていくのは楽しいですね。

――ひらめいたらすぐ試してみる派なんですね。小さい頃から好奇心旺盛だったんですか?

馬場:実験が好きでしたね。小学校の時から料理もやってました。料理は火を使う口実にもなりますし、「自分でやってみたい」という実験感覚ですね。小学校の中学年ぐらいに自分でコーヒー淹れて飲んだりして。めちゃめちゃ気持ち悪くなりましたが(笑)。市販の麻婆豆腐の素の裏に調味料が書いてあるじゃないですか? それを自分でブレンドして麻婆豆腐をイチから作ってみたりとか。

――麻婆豆腐をイチから作る小学生! 原材料名見るのがお好きなんですね。

馬場:今も見ますよ。法律で表示しなくていい食品の成分ってあるじゃないですか。それを全部表示して欲しいんです。そしたら“企業秘密の味”でも再現できるので(笑)。

――最近でも何かを再現されたりしてます?

馬場:ハーブソルトは自分でよく調合してますね。ガラムマサラを作ってみたりとか。以前流行った塩レモンも、自分流でアレンジしました。塩レモンのアレンジに成功したので、にんにくもいけるなと塩にんにくも作ってみたり。

――歩くアイディアの泉ですね。YouTubeで色々とレシピを発信されていて、視聴者からはどんな反応がありますか?

馬場:「これ何かで代用できますか?」っていうのが多いですね……。「これ苦手なんですけど」とか。苦手なら入れなくてもいいと思うんですけどね。省いちゃえばいい。メイン食材が苦手な場合は、もう作らない(笑)。

――ブロッコリーのパスタで、ブロッコリーが苦手だったらどうにもならないですしね。

馬場:無理して食べなくてもいいし。あんまり料理に「こうしなきゃいけない」っていうのはないと思う。好きなものを好きな自分のアレンジでやってみて、失敗したらまた勉強すればいいと思いますよ。

――YouTubeで紹介されていたシエントウジャン(鹹豆漿)も、豆乳が苦手だと作れないですもんね。

馬場:そうですね。豆乳は無調整豆乳と調整豆乳の区別が付いていない人もいるので、動画ではそういう知識も伝えています。言ってあげると「ああ、違うんだ」とか気づきがあると思うんですよね。知識があると食材の使い分けもできるようになると思うので。

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