コロナ禍で、免疫力アップに興味が高まる中、今、関心が高まっているのが腸活だ。
先日、日本スープ協会が「スープの日」である12月22日(いつも フーフー)にちなんで毎年開催しているセミナーがオンラインで開催された。テーマは、「免疫力をアップさせる腸活を毎日のスープ食で実現」。
第一部では、「腸活」について研究・実践している小林メディカルクリニック東京院長で医学博士の小林暁子先生の講演が行われた。その中から、腸活を実践したいビジネスパーソンに役立つ情報をピックアップして紹介する。
また第二部で紹介された、スープ作家の有賀薫さんによるスープレシピも要チェック!
腸と免疫は密接に関係している
小林 暁子先生
医療法人社団 順幸会 小林メディカルクリニック東京 理事長・院長、医学博士
順天堂大学医学部卒業後、順天堂大学総合診療科を経て、2005年にクリニックを開業。内科、皮膚科のほか、便秘外来や女性専門外来を併設。なかでも便秘外来では15万人以上の便秘患者の治療に携わり、高い実績を上げている。20020年よりオンライン診療も開始し、かかりつけ医として全身の不調に対応する。『あさイチ』、『ごごナマ』(NHK)のテレビ出演、講演実績も多数。
小林先生によると、腸と免疫は密接に関係しているという。
小腸粘膜上皮の下に集まるリンパ組織「パイエル板」は免疫を担い、特に回腸で発達し、免疫細胞の7割の活性に関わるという。パイエル板は、ヘルパーT細胞、B細胞といったリンパ球に指令を出す免疫の最高司令官的なはたらきを担う。
また腸管粘膜は、ネバネバしたムチン層の膜で覆われており、有害物質の侵入を避けている。さらに『抗菌ペプチド』というタンパク質を分泌してバリア機能を高めている。
腸内細菌は、このバリア機能を高める物質を、人間が摂取した食べ物から作る。
その腸内細菌が作った有益な代謝物が、腸管バリア機能を高めたり、腸管上皮細胞のエネルギー源として使われるという。
そのため小林先生は、免疫維持のために腸内環境は非常に重要だと説く。
腸内細菌の多様性を上げることが重要
小林先生は、免疫を維持するには、腸内細菌の多様性を上げることが重要だと話す。
では、多様性を上げるにはどうすればいいか。次の3つがある。
1.腸内細菌の住環境を整える
腸のぜん動運動がきちんとあること。便秘は大敵。
2.腸内細菌のエサを与える(プレバイオティクス)
・オリゴ糖:ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖など、種類によって増える細菌の種類が異なる。
・食物繊維:不溶性食物繊維と水溶性食物繊維。エサになるのは主に水溶性食物繊維。
3.細菌を供給する(プロバイオティクス)
・発酵食品:ヨーグルト、漬物、納豆など
「シンバイオティクス」がおすすめ
この腸内細菌の多様性を上げるために、小林先生は特にプロバイオティクスとプレバイオティクスを一緒に摂取する「シンバイオティクス」がおすすめだという。
プロバイオティクスとプレバイオティクスを一緒に摂取すると、プロバイオティクスの持つ、お腹の健康を守る機能とともに、身体本来の力を強める機能が、さらに高められると考えられているという。
●不溶性食物繊維の特徴
・咀嚼を増やし、満腹感を得やすくする
・胃の中に長時間滞在し満腹感を与える
・便を柔らかくしてカサを増やすことで腸の蠕動を活発にする
・発がん性物質などの腸内の有害物質の排出促進
●水溶性食物繊維の特徴
・善玉菌を活性化し種類や数を増やす
・ブドウ糖の吸収を緩やかにし食後の血糖値の急激な上昇を防ぐ
・コレステロールの体内への吸収を防ぐ
・大腸がんの予防
肥満を防ぐ「短鎖脂肪酸」を作るには?
ところで、腸内を調整するすることで、やせ体質にも近づくことができるという。
そのためには、腸内細菌に「短鎖脂肪酸」という物質を作ってもらう必要があるそうだ。
短鎖脂肪酸とは「酢酸」「酪酸」「プロピオン酸」のこと。
腸内細菌が食物繊維などを食べると「酢酸」「酪酸」「プロピオン酸」などの短鎖脂肪酸を産生し、腸から吸収された短鎖脂肪酸が全身を巡る。これにより、腸内フローラをやせ体質フローラへすることができ、肥満を防ぐという。
短鎖脂肪酸は、難消化性炭水化物を腸内細菌が分解することにより産生されるため、食物繊維の摂取が重要だという。
おすすめの食材と食事方法
では、具体的にどんな風に食事を摂っていけばいいか。おすすめ食材と食事方法を見ていこう。
●食物繊維は不溶性・水溶性共にバランスよく摂る
先述の通り、食物繊維には水溶性と不溶性があるが、それらをバランスよく、またゆっくり時間をかけて食事をすることが大切だという。水溶性は果物や海藻類などに多く、不溶性は豆類、穀類などに多い。具だくさんスープなどでたくさんの種類を摂るのがいいそうだ。特に水溶性が重要で、水溶性食物繊維の粉状サプリメントをいつもの味噌汁やスープなどの飲み物に混ぜるだけでも変わってくるという。
●日本人には穀物繊維がおすすめ
日本人は農耕民族であるため、遺伝的に穀物繊維の消化に向いている腸になっているという。スープに合う食材としては「オートミール」「チアシード」「もち麦」などが挙げられる。
●発酵食も大事
納豆や味噌、醤油、日本酒、ぬか漬け、たくあんなどの発酵食も大事だという。各国いろいろな種類があり、ヨーロッパではサワークラウト、中国ではザーサイ、韓国ではキムチなどがある。スープに使える食材としては味噌やチゲがある。
●食事で摂取すると「腸活」に良い効果のある食材例
・穀類:もち麦・オートミール・チアシード
・野菜類:ブロッコリー・モロヘイヤ・人参・ほうれん草・玉ねぎ・とうもろこし・ごぼう・里芋・にんにく
・きのこ類:なんでもOK
・海藻類:わかめ・もずく
・その他:納豆・豆腐・キムチ・ヨーグルト・桃・プルーン・キウイ・りんご
食物繊維については、「不溶性」×「水溶性」の組み合わせでバランスよく取れると良いそうだ。または「不溶性×不溶性」、「水溶性×水溶性」でもOKだという。
腸活スープレシピ2選
セミナー第二部では、スープ作家の有賀薫さんによる腸活食材を利用したスープレシピが紹介された。そのうち、2つを紹介する。市販のスープを利用する簡単なレシピなので、ぜひ作ってみよう。
有賀薫さん
スープ作家
家族の朝食に毎朝スープを作り続けて約9年、3000日以上になる。雑誌、ウェブ、テレビなどでスープのレシピと暮らしのアイデアを発信。『朝10分でできる スープ弁当』(マガジンハウス)で、2020年料理レシピ本大賞入賞。
1.「ざくざくコーンスープ」
カップスープにたまねぎとコーンをプラスして、ざくざくした食感をプラスしたスープ。食べごたえがぐっと上がるという。
腸活に有効な食材:コーン・たまねぎ
【材料(1人分)】
・クノール「カップスープ・北海道コーンクリーム」:1袋
・冷凍コーン:大さじ1~2(お好みの量)
・たまねぎ:1/8個
【作り方】
(1)たまねぎはみじん切りにして、耐熱容器に解凍した冷凍コーンと一緒に入れ、ラップをする。
(2)600Wの電子レンジに2分30秒~3分かける。
(3)たまねぎがしんなりしたら、カップスープの素を加えて熱湯150mLを注ぐ。味が足りない場合のみ、塩をほんの少々加える。
2.「わかめと雑穀米の中華リゾット風」
わかめスープをリゾット風のスープかけごはんに。腸によい雑穀米を使う。
腸活に有効な食材:わかめ・雑穀ごはん
【材料(1人分)】
・理研「三陸産わかめのスープ」:1袋
・雑穀ごはん:1/2膳
・ごま油:小さじ1/3
【作り方】
(1)ごはんを器によそい、ごま油をかける。
(2)理研の三陸産わかめのスープをふりかけて、熱湯160mLを注ぐ。
(3)全体をざっくり混ぜて2分おいて、できあがり。
冬にあつあつのスープは心身ともにあったまる。今年はスープを活用して腸活を賢く行い、この時期を乗り越えよう。
取材・文/石原亜香利
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