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Saturday, January 9, 2021

健康を願い正月に食べられる、韓国のお餅スープ。|特集|Travel|madameFIGARO.jp(フィガロジャポン) - フィガロジャポン

文・写真/鄭慈卿 (在ソウルコーディネーター)

元旦を祝うために、日本のお雑煮ではないが、韓国ではお餅が入ったスープのトッククを食べる習慣がある。澄んだスープに真っ白いお餅を入れて煮込むトッククには、敬虔な気持ちになって新しく始めるという意味が込められているという。長く細長い餅は無病息災や長寿を、小判形にスライスされた餅は財福を意味すると伝えられており、新しい身だしなみと心構え、健康、富を願い食べられるお節料理の代表である。

トックク(海苔あり)4.jpgスープに餅と牛肉、卵、ネギなどの具を入れて煮込む韓国の代表的な正月料理であるトックク。ホウレン草、キキョウ、アワビの三色のナムルとタラ、ズッキーニ、肉団子のチヂミを添えて。

地域や家庭ごとに出汁、調理法、食材が異なり、さらにオモニ(母親)のオリジナリティも加わってさまざまなスタイルがある。錦糸卵をのせるもの、スープに卵を溶くもの、同じ食材でも見栄えも違っていておもしろい。友人と母の手料理について話していると、牛肉の出汁が当たり前だと思っていたが、鶏や煮干しの出汁の家庭もあるし、昔はキジの肉の出汁もあったそうだ。小さなお団子を入れたり、牡蠣などの海産物やメセンイ(青海苔に似た海藻)といった海藻類を入れたスープで食べる海辺の地域もある。我が家では豆腐を入れるが、一般的ではないことを知りびっくりした。そんな私の今年のトッククは、牛肉の代わりに肉餃子入りにした。大きな肉餃子を割ると皮の中から具材の旨みが引き出て格別な味がする。

チョレンイトックク15.jpg北部地方で食べる雪だるまの形をしたチョレンイトックク。錦糸卵とネギのほか、マリネした牛肉をのせて食べる。

精米所1_②.jpg幼い頃から行きつけている精米所で見られる、蒸されてすぐの湯気が立つ餅。年末年始の精米所の風景は、穏やかで気持ちがいい。一晩ほど固めた後に薄く切るとトックク用の餅になる。最近はスライスした餅も販売している。

餅はスーパーでもかんたんに手に入れることができるけど、正月に食べるトッククは精米所の手作りが定番だ。トックク用の餅の形も多様で、有名な開城(北朝鮮にある地域、ケソン)のチョレンイ餅は、雪だるまのような形が可愛く、スプーンですくって食べる楽しさもある。最近はヨモギ、黒米、カボチャ、紫芋を混ぜ込んだ色とりどりの餅もあるし、好きな食材を入れて自分だけのスタイルで作るのも流行っている。「フィガロジャポン」2019年10月号の「ソウルでキレイ」で紹介したベース・イズ・ナイスのオーナーシェフ自作のトッククは、まさに新しいスタイルの健康食。ゴボウで出汁を取ってヨモギ餅でアレンジしたレシピは、私も真似して作ってみたくなった。

おもち6.jpgトックク用の2種類のお餅。ちなみに、トックとは餅のこと。一般的な形のカレトックと雪だるま形のチョレンイトック。残った餅はトッポキを作ったり、鍋やラーメンに入れたり、焼いて水あめ、ハチミツ、醤油をつけて食べるのもおススメ。

よもぎ3.jpgヘルシーなゴボウの出汁がベースのよもぎトックク。独創的なレシピでおしゃれ。photo:@baseisnice_seoul

昔は餅が貴重な食べ物だったのでトッククを食べる正月が待ち遠しかったそうだ。いまでも正月に食べるトッククには新しい一年を迎えるときめきと期待、そして願いが込められているので特別に感じられる。

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