料理に目覚めたのは小学生の時「1+1が、100にも1000にもなる魅力」
平野レミ料理ができない人にも読んでみてほしいですね。自信がない人も、「なんでもないよ」ってことが分かると思う! 自分で作ったものってやっぱりおいしいし、それを食べて喜んでくれる人がいるって、すごくうれしいものだから。
――「夫のため、子どものため、お客さんのため、そして自分のために頑張ってお料理を作っていた」とありましたが、レミさんがお料理を好きになったきっかけは?
平野レミ小さい時、庭に家庭菜園があって、さつまいもやトウモロコシ、トマト…いろいろなものを作っていたの。それらを使って、小学生の時から、自分で組み合わせていろんなメニューを作っていましたね。実験みたいな感じ。
――その時から、料理の魅力に気づいていたんですね。
平野レミ母親が、自由にやらせてくれたおかげね。「また散らかして」とか、「包丁は危ないから」とか、ひと言も言わなかった。失敗して分かることもあるし、伸びる時期に好きにやらせてくれたのはすごく大きかったと思います。
――料理のどんなところに魅力を感じたのでしょう?
平野レミたとえば、肉とトマトとしいたけとピーマンがあったとして、算数だと、1+1+1+1=4じゃない? でも料理の世界では、やり方次第で100にも1000にもなるのよ。心が入るからおいしいし、+アルファがすごいなって。
――答えがたくさんあるんですね。
平野レミそう、だからお料理をするのが本当に楽しかった! 当時、うちの猫が子どもをいっぱい生んで縁側で日向ぼっこしながらおっぱいやっているのを見てね。「あのお母さん猫いいな〜」って思ったの。子どもを生んで、ごはんを食べさせて、みんなでゴロゴロ過ごしているのが、とっても平和で温かい感じがしたのよね。「自分もそうしたいな」って思っていたら、結婚して子どもを生んで、夢が叶っちゃったわよ!(笑)
――なるほど(笑)。著書には旦那様でありイラストレーターとしても著名だった和田誠さんとの対談や、エピソードもたくさん出てきますよね。
平野レミ私がここまでこれたのは、和田さんのおかげなの。「お茶一杯、ごはん一杯でもうちのはうまい」って言ってくれていたの。いつも「おいしい、おいしい」って食べてくれたのよね。まずいなんて一度も言われたことないの。ダメな時も、「もう少しコクがあったらもっと良かったね」とか、言い方もうまかったから、私ものせられちゃったのよね。もし「こんなもの食えるか!」って言われていたら、じゃあもうやんないよってなっていたと思う(笑)。
――素敵な旦那様ですね。
平野レミ自分の女房を育てるには、やっぱり褒めないと。おいしいって言ってくれたら、また作ろうって思うもんね。旦那さんは、褒め上手になるのが大事よ。
――ケンカしたことはなかったんですか?
平野レミないない! まず怒ることがなかったから。でも1度、息子が小さかった時にトイレのさせ方が違っていたから注意したら怒られて。その時はビックリして、実家に帰っちゃった(笑)。
夫・和田誠にもらった肩書、“料理愛好家”「楽な気持ちで、やるのがいい」
平野レミ食器の洗い物や庭掃除は和田さんがやっていましたね。それと、私が仕事で地方に行った時は、子どもたちのご飯も作ってくれました。男料理で、根菜類も皮付きのままでっかいのがゴロゴロ入った煮込み料理とか。梅干しが入っていて、さっぱりしておいしかったな。
――昨今は働く女性も増えて、“家事は女性がやるもの”ではなく、“みんなでやるもの”という認識に変化してきていますよね。
平野レミそうよ。みんなでやったらいいの。しかも子どもを産むのは女性だけなんだから大変よ! 男の人にはそれをわかってもらいたい。
――とはいえ、分担しても料理をしたり、家事を毎日きちんとこなすのは大変な時もあると思います。何かアドバイスはありますか?
平野レミ疲れた時は寝ちゃってもいいし、いつかやればいいっていう楽な気持ちでいたらいいんじゃないかしらね。最終的になんとなくいい感じになっていれば、いいと思うの。ごはんのメニューを考えるのが面倒な時は、自分の食べたいものを作ればいい。自分の好きなものをつくるなら、一生懸命作るでしょ?
――レミさんでもそういう時がありますか?
平野レミありますよ! 息子たちを育てている時もそうしてたし、昨日の昼食もおなかが減ったけど冷蔵庫にたいしたものがなくて。冷凍のうどんと、作り置きのミートソースを解凍して、フライパンでオリーブオイルで炒めて食べたらおいしかったの。で、野菜ジュース飲んでOK。そういう楽な感じでいいと思う。
――頑張りすぎないことも大事なのかもしれませんね。
平野レミそうそう。楽な気持ちで、好きなことを見つけてやるのがいい。私も料理学校なんて行ったこともないのに、夫や家族のおかげでこんなに料理好きにピッタリの楽しい人生が待っていたからね。
――レミさんは一貫して、“料理研究家”ではなく、“料理愛好家”と名乗っていらっしゃいますよね。
平野レミ研究はしていないから(笑)。ある時夫に、「私の肩書は料理研究家じゃないでしょ?」って聞いたら、「愛好家だろ」って。それからずっと、“料理愛好家”って名乗っているの。
息子たちの勉強は台所で「見て、聞いて、味わって…料理は五感で楽しめるもの」
平野レミ教えたことはないですね。でも、子どもたちの宿題や勉強は、いつもキッチンでやらせたの。そうするとエプロン姿も見られるし、食材を洗う音や刻む音、炒めてる音から匂いまで全部入ってくるでしょ? 「お母さん、ご飯まだ?」って聞かれた時に、「もうすぐだからね」って言うことで待つ楽しさが沸いてくるし、できた時の喜びもひとしおだと思うの。だから、キッチンでの宿題がいろいろな面で功を奏したみたいよ。特に料理への関心はね。
――息子さんたちもそれぞれご結婚されていますが、今でもお料理されるんですね。
平野レミすごいやるんだって! 長男の奥さんの(上野)樹里ちゃんも、次男の奥さんのあーちゃん(和田明日香)に聞いても、「すごく上手ですよ」って。次男なんか、子ども3人分のお弁当を作ったりもして、とうとう「お弁父(おべんとう)」という本まで出しちゃったわよ。
――和田明日香さんも、料理家として活躍されていますよね。
平野レミあーちゃんは最初、キャベツとレタスの違いも分からないぐらいだったの(笑)。でも今ではすごい上手で、子ども3人はまず主食の前に野菜を沢山食べる習慣を身につけさせちゃって、「今日は野菜が何種類入ってるでしょう?」みたいなクイズをしながら、みんなで和気あいあいやっていて、子育て上手よ。
――明日香さんも番組でレミさんのレシピを紹介するなど、仲の良い様子が伺えます。嫁姑問題とは無縁そうですね。
平野レミないない!(笑)自分に好きなことがあって一生懸命やっていたら、それに精一杯で嫁のことなんて気にならないのよね。第一、息子が好きになって一緒になった人に、いちいち干渉したらかわいそうよ。
――ご家族とは、今でもよくお食事されるんですか?
平野レミ近くに住んでいるから、孫たちはよくうちにも遊びに来るし、夕ご飯を食べにあーちゃんの家に行ったりもします。いつも元気いっぱいの食卓ね。やっぱり食事は楽しいのが一番。もし子どもに嫌いなものがあっても、無理やり食べさせようとすると食事の時間が楽しくなくなっちゃうから。笑って笑って、楽しく食べるのがいいわよね。言いたいことがあったら、食事中はやめた方がいいかもね。
――著書にも、味覚で家族がつながって絆が強くなるとありました。おいしい料理が、笑顔につながるんですね。
平野レミ料理は五感で楽しめるから。味や匂いはもちろんだけど、彩りとか盛り付けで目で楽しいし、炒める音とか食べる音で耳でも楽しいし。絶対に楽しんでやったほうがいいですよ。
――お料理が苦手な人へメッセージはありますか?
平野レミゲームのような感覚でおもしろがったらいいのよ。私の料理は、食材で遊んでるって言う人もいるんけど、ちゃんと美味しく食べてるんだからいいじゃない(笑)。遊びながら楽しく食べられたらそれでいいと思うの。あとは、誰かに食べてもらうのも手よね。褒めてもらえたら、また作ろうってやる気になるしね、私みたいに。
――レミさんのレシピは、料理が苦手な人でも簡単に作れるものがたくさんありますよね。
平野レミそうね。(阿川)佐和子ちゃんからも、サラダのドレッシングを作ったらすごくおいしかったってメールが来たの。あとはちょうど今日、(森山)良子ちゃんからも料理を褒めてくれるメールが届いて。そうやって誰かに褒めてもらえると本当にうれしいから! ぜひ、お料理を楽しんで、笑顔いっぱいのおいしい幸せが届くようにいつも願っています。
Information
『家族の味』
3月9日発売
著:平野レミ /絵:和田誠
定価:1400+税 ポプラ社刊
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からの記事と詳細 ( 平野レミ、研究家ではなく“料理愛好家”を名乗るワケ「私がここまでこれたのは、和田誠さんのおかげ」 - ORICON NEWS )
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