
府中市のNPO法人「シェア・マインド」が、生活困窮者の支援を目的としたレトルトスープなどの製造・販売に乗り出した。スープが売れると、同じ数のスープが支援対象者の元に届くチャリティー商品で、活動資金の確保や食品ロスの削減につなげる狙いもある。(長内克彦)
■規格外食材活用 同NPOは2016年から、家庭で余ったり、企業で余剰在庫になったりした食品を譲り受け、困窮世帯や学生らに食料を届ける活動に取り組んできた。
しかし、規格外の野菜や肉などの提供申し出があっても、資金不足に悩む現場では生鮮品を保管できる設備はなく、断ることもしばしば。活動で届けられるのは、カップ麺など日持ちするものや、アルファ米、ビスケットといった防災用備蓄食品に偏りがちだった。
困窮が深い人ほど、肉体的・精神的ストレスにさいなまれやすいと感じていた代表理事の松本靖子さん(41)は、体調が悪いときでも簡単に調理ができ、提供を受ける規格外の肉や野菜を無駄にすることなく使える栄養価の高いレトルトスープを作ることを思いついた。
■試供品好評
昨年5月頃から、飲食店経営者や栄養士、料理人を目指す学生らの助言を受けながらレシピの開発に着手。夏はナスやピーマン、トマト、冬は大根、白菜など、季節に応じて大量に出回る食材を意識し、トマト風味の豆スープ、具だくさんの豚汁、おから入りカレーなど、5種類ほど商品化のめどがついた。
松本さんは8月、第2府中保育園(府中市日新町)が運営する子ども食堂「にっころ食堂」のフードパントリー(配布会)で、鶏肉や白菜などを使った韓国スープ・サムゲタンの試供品を参加者約30人に配った。
参加者たちにも好評で、中学生の息子と2人暮らしというシングルマザーの女性(34)は「レトルトだと気軽に食べられるし、日持ちするのもいいですね」と喜び、同保育園の目時寿美子園長(54)は「食品を無駄にせず、支え合うことができる。とてもいい企画だと思います」と期待していた。
■おためしセット
同NPOは今月から、スープ2種類とレトルトカレーが2パックずつ入った「おためしセット」(送料込み3520円)の販売をインターネット上で始めた。ほかのフードバンクなどとも連携し、売り上げた数と同じ数のスープが、支援対象者に届く仕組みになっている。
事業名は「スタンバイ」とし、「いざというときに役立つ」という願いを込めた。軌道に乗れば、製造や納品などの作業を困窮者に協力してもらい、仕事を生み出すことも目指していくという。
松本さんは「同じモノを食べることで、寄付者と支援対象者の距離も近くなるし、規格外の食品を有効活用し、持続可能な活動につなげたい」と話している。
問い合わせは、松本さん(090・6470・4905)へ。
からの記事と詳細 ( 困窮者温めるスープ - 読売新聞オンライン )
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