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Thursday, June 4, 2020

フィンランドのキャンプ飯「エンドウ豆のスープ」|フィンランドで暮らしてみた|芹澤桂 - gentosha.jp

私はアウトドアを中途半端に愛好している。中途半端というのは、根がインドア派だからだ。

アウトドアといえばフィンランドおよび欧州近隣でキャンプぐらいしかまともにしたことがなく、毎回「私アウトドア好き!」と痛感するほどとても楽しい体験なのだけれど、その後日本でちょこっとテント泊したときは大嫌いな虫やら湿気やらで「私やっぱり都会暮らしでいい」とくじけそうになった。

 

キャンプ以外のアウトドアアクティビティ、例えばボルタリングやらカヌーやらは挑戦する気もないし、山歩きぐらいはしても登山はどこか遠くの国の話。実家が富士山のすぐ近くなのに頂上まで行ったこともない。

なので大声でアウトドア好きです! とも言い切れずに、ときどきこそこそとキャンプをしたりトレッキングをしたりしている、そんな感じ。

初テント泊はフィンランドで

そんな私の記念すべき初めてのテント泊は、フィンランドの地方都市でだった。

移住して間もない頃に国内旅行をすることになって、もともとアウトドア好きだった夫とキャンプライフに興味のあった私の利害が一致した。肩慣らしに、と1泊だけ、地方都市のはずれにある湖畔のキャンプ場で泊まることになった。持ち込んだのは超軽量の小さなテントに、エアマットレス、全季節対応の寝袋、各種ポータブル調理具。

テントの中は思っていたよりもずっと快適で、湖のほとりで過ごすフィンランドの夏の夜は爽やか、不便なはずのアウトドアライフもガジェット好きにはたまらなかった。

(これもキャンプ場の一部)

その際、当時の私には物珍しかったキャンプ道具のひとつ、入れ子式に折りたためるコンロで初めて作った「キャンプ飯」が、フィンランドの伝統料理ヘルネケイット(Hernekeitto)、エンドウ豆のスープだった。

いや、正確に言うならば作ったのではなく既製品を温めただけ。ヘルネケイットは学校給食でもしょっちゅう出てくる定番メニューで、その魅力は何と言っても低コスト、高栄養価にある。

2、3人前が入ったヘルネケイットの缶はスーパーで安いものだと100円もしないのに、水を少し加えて温めるだけの手軽さ。豆が入っているから食物繊維もタンパク質も豊富、子供も喜ぶ優しい味ときた。だからキャンプの定番でもあるらしく、私のキャンプデビューは伝統のヘルネケイットで乾杯となったのだ。

(ごはんが作りたくない時の非常食用にも、
各種備えております)
​​​​

思い立っても作れない

ところが一から作るとなるとこのスープ、シンプルな工程でのわりに結構めんどうくさい。

まず、乾燥エンドウ豆を一晩水に浸す必要がある。思い立ったら作れる、というものではない。

それからは豆をハムと煮るだけではあるのだけれど、2時間ほどかけてじっくり煮ていく。豆が柔らかくなって薄皮が剥がれ潰れてくると自然にポタージュ状になり焦げやすくもなるので、完全に放っておくわけにもいかない。

フィンランド料理では珍しく、ちまちまと手間がかかるやつなのだ。

入れるハムは薄―いハムではなく、お正月のおせちに入っているような厚切りの、できればしっかり燻製されたハムがいい。塩豚や、ブロックベーコンでも代用できる。

ブイヨンやスープストックは入れず、基本的に味付けはこのハムに左右されるので、このハム選びもなかなか重要になってくる。

(クリスマスに焼く大きなハムの
切れ端を入れることも)

でも、作り方はそれだけ。時間はかかるけれど、煮ている間に他の作業ができるので私はキッチンにパソコンを持ち込んで仕事をしながらこのスープを煮ることが多い。

食べ飽きるほど食べるけど食べ飽きない

フィンランド人は学校給食でこのスープは食べ飽きていると聞いたけれど、うちの子供たちはまだまだこのスープが大好きで、もりもり食べてくれる。だから塩気の多い既製品よりも手作りをと手間を惜しまず大量に作っては冷凍保存している。

離乳食期の下の子にはハムを入れる前のものを取り分け、幼児にはハムを入れたものを。大人用にはフィンランド人大好きシナッピ(Sinappi。甘めのマスタード)を添えて食べる。

ちなみに見た目はエンドウ豆の緑が色褪せて黄緑色になって、どろりとしている。ミキサーで滑らかなポタージュ状にしたり、生クリームをてんてんとスープに浮かべたりしたおしゃれバージョンもたまぁに見かけるけれど、私に言わせたらそれはフィンランドのヘルネケイットではない。人参と玉ねぎが入ったバージョンもレストランなんかではたまに見るけれどどこかよそいきの顔だ。

素顔は、おたまで適当に潰して途中で飽きてやめちゃったぐらいのつぶつぶ感、燻製ハムのスモーク臭、雑味のない豆の素朴な味。それがヘルネケイットだ。

(写真映えのしない素朴なスープ)

エンドウ豆のスープレシピ

【材料  3〜4人分】

-乾燥豆の場合-
乾燥エンドウ豆 250g
水       1L

-冷凍豆の場合-
冷凍グリーンピース 500g
水         500g

-共通-
ブロックハム 150-250g
ローリエ   2−3枚
塩      小さじ1
マスタード  お好みで

【作り方】

1、 乾燥豆の場合は分量の水に豆を一晩、もしくは8時間以上浸す。

2、 豆と水、ローリエを火にかけ、沸騰したらアクを取り、刻んだハムを入れ弱〜中火にし豆が柔らかくなるまで煮る。

3、 豆が柔らかくなったらおたまや泡立て器で潰す。塩で味を整える。

このヘルネケイットに限らず、フィンランドでは大皿のスープとライ麦などのずっしりしたパンだけで一食を済ますことも多い。おかずを何種類も用意する必要もなく、手の込んだことをしたかったらパンを手作りするとか、パン屋さんから焼きたてを買ってくるとか、オーブンで焼き上げる半生のをスーパーで買ってくるとかだけでもいい。作る側からしたらかなり楽だ。というわけで各種スープのご紹介もそのうちに。

(湖畔のキャンプファイヤー
……ならぬ夏至祭の焚き火)

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June 05, 2020 at 04:02AM
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