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Saturday, November 27, 2021

野菜のおいしさ生かしたビーガン料理 旬の果物の焼き菓子も(Sデジオリジナル記事) - 山陰中央新報

ビーガンの料理やスイーツを販売するカフェ「玄(はる)」=出雲市大塚町

ビーガンの料理やスイーツを販売するカフェ「玄(はる)」=出雲市大塚町

 「体にも心にも優しいもの」を提供する店を紹介する「はるかほのやさしいお店巡り」、第7回は、動物性食品を使用しない料理を提供する出雲市大塚町のカフェ「玄(はる)」を紹介する。(Sデジ編集部・宍道香穂)

 穏やかな雰囲気の店主・鎌田奈未さん(43)が、ビーガン料理(動物性食品を使用しない料理)や焼き菓子、ドリンクを提供する。外観は白いトタンの壁が印象的で、店内は木材の柱と白い壁に落ち着いた雰囲気を感じる。

▷野菜たっぷりのスープ マフィンなど焼き菓子も
 動物性食品不使用のランチセット「季節の野菜スープセット」(1,100円)に加え、マフィン(テイクアウト421円、イートイン429円)、タルト(453円、462円)、米粉ケーキ(432円、440円)を販売している。
 ランチセットは季節の野菜がたっぷり入ったスープ、おかず5品、黒米入りのごはん。焼き菓子は牛乳の代わりに豆乳や豆腐を、バターの代わりに植物性油を使っている。マフィンはレモンやオレンジ、リンゴなど果物を使用した2~3種類が並ぶ。米粉ケーキはバナナやチョコレート味があり、しっとりとした食感を楽しめる。

マフィンやタルト、米粉のケーキを用意している

 ランチセット「季節の野菜スープセット」を注文し、食べてみた。スープはニンジン、タマネギ、キャベツといった旬の野菜が細かくカットされ、柔らかく煮込まれている。優しい味のスープに野菜のうまみがしっかりと溶けていて、心も体も温まった。
 おかずはダイコンのから揚げ、サトイモとキノコのサラダ、ブロッコリーとタマネギのサラダなど5品。素材の味を生かした味付けで、野菜のおいしさが感じられる。特にダイコンのから揚げは、カリッとした衣とみずみずしいダイコンが絶妙な組み合わせで「ダイコンって、こんなにジューシーなんだ!」と驚いた。

季節の野菜スープセット(1,100円)

 ランチや焼き菓子には旬の野菜や果物のほか、無農薬、低農薬の食材を優先的に使用している。また、雲南市大東町産の米粉など、できる限り山陰産の食材を取り入れ、地産地消を心掛けているという。鎌田さんは「作る過程を楽しむことと、感謝の気持ちを忘れないことを心掛けています」と話し、一つ一つ丁寧に作業する姿勢がうかがえた。

▷視野が大きく広がったビーガン時代
 インドを訪れたことをきっかけにビーガンに興味を持ち、約10年前に自身もビーガンになった。インドではビーガンや菜食主義者が多く、食と健康を意識する大きなきっかけになったという。当時はビーガンへの理解が進んでなく「理解されないことも多かったけど、頑固に続けていました」と笑う。

店主の鎌田奈未さん(43)

 現在は動物性食品を食べることもあり、完全なビーガンではないものの「ビーガンについて勉強する中で知ったことや出会った人たちは財産」と話す。同世代の人が山中で自給自足の生活をしている様子には特に衝撃を受けたという。「こういう生活スタイルもあるのか、素敵だなと、視野が広がりました。食べるものの選択肢が限られ大変そうと言われがちですが、ビーガンになったことで世界が大きく広がりました」。

▷新しい世界知るきっかけを提供
 日常的にビーガン料理を作ったり、趣味で作っていたビーガンの菓子をイベントに出したりする中で「店を開いて料理を提供したい」と考えるようになったが、当初は不安のほうが大きかった。「店を開くと決心するまでに時間がかかりました」と話す。それでも覚悟を決め、祖父が農作業小屋として使っていた建物をリフォームし、昨年5月、店をオープンした。
 店名の由来については「“玄”という漢字が好きで」といい、「玄」には中立的、天、宇宙といった意味があり、雄大な雰囲気に魅力を感じると説明してくれた。ビーガンだった頃に玄米を食べていたことも理由の一つだという。

白いトタンの壁が目印=出雲市大塚町、玄(はる)

 開店後は口コミで人気が広がり、リピーターも多い。同年代の夫婦連れや20代前半の若者、赤ちゃん連れの母親など、さまざまな性別、年代の人が訪れるといい「おいしかったと言ってもらえるとうれしいし、何度も繰り返し足を運んでくれる人が多いこともうれしいです」と店を訪れる客に励まされているという。「これからも地道にコツコツと続けていきたいです」と微笑み「売れそうなものではなく、自分がおいしいと思えるもの、納得がいくものを提供し続けたいです」と話した。
 鎌田さんは「ビーガン料理を広めたいというよりは、こういう考え方もあるのかと、少しでも意識してもらうきっかけを作れたら」と話す。押しつけがましくなく、そっときっかけを与えてくれそう。メモを取る記者を気遣い、話し出すのを待ってくれたり、「寒くないですか」とこまめに客を気遣ったりする鎌田さんを見て、居心地の良さの理由が分かった気がした。

 営業は毎週木、金曜日。営業時間やイベント出店の情報はインスタグラムで発信している。
 

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