2021年12月3日発売の「日経トレンディ 2022年1月号」では、「2022-2030大予測」を特集。ボタンを押すだけで食べたい料理が“出力”される「3Dフードプリンター」が、食のパーソナライズを加速する。健康状態や嗜好に合わせて最適な食事が提供され、将来的には未知の料理を気軽に味わえるようになりそうだ。
※日経トレンディ2022年1月号の記事を再構成
【2030年はこうなる!】データ登録するだけで個々に合った食事を提供
食事をするのにもう料理の手間は必要ない。ボタンを押すだけで食べたい料理が一瞬で“出力”される――そんな映画のようなことを現実にするのが、3Dフードプリンターだ。
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その仕組みは、ノズルに入れたペースト状の食材を縦横に動かしながら絞り出し、立体物を作るというもの。人間の手ではできないような細かい細工の食品を簡単に作ることができる。
3Dフードプリンターによってもたらされる大きなメリットが、食のパーソナライズだ。健康状態や嗜好に合わせて最適な食事を提供するというのは骨の折れる作業だが、3Dフードプリンターの場合、個人のデータを登録しておけば後は出力するだけでいい。
山形大学のソフト&ウェットマター工学研究室では、介護食を3Dフードプリンターで作る研究が2019年から進む。介護食はかむ力や栄養素、カロリーのバランスなど、要介護者の抱える事情によって個別に準備が必要となり、食事を用意する介護者の負担が大きい。3Dフードプリンターの真価を発揮しやすい分野だといえる。
しかし、通常の3Dフードプリンターは、介護食には必須の軟らかい食材の取り扱いが苦手だった。それを克服したのが、スクリュー型を採用した山形大学の3Dフードプリンターだ。スクリューの回転数を変えることによって出力の微調整ができ、出力を終えるたびにスクリューを逆回転させることで、水分量の多い軟らかい食材でも漏れ出さない。責任者の川上勝准教授は、「当初は介護食への活用は考えていなかったが、軟らかい食材を扱えることと、2色の造形が可能である点が介護食を製造するメーカーの目に留まり、共同研究に至った」と言う。
■介護食3Dフードプリンター
(山形大学ソフト&ウェットマター工学研究室)
食感を変え、要介護者にも食べやすく
さらに1つのプリンターに2つのノズルを搭載していたことも奏功した。2つのノズルから異なる粘度のペーストを絞り出すことで、食感が均一になってしまうという課題を解決したのだ。硬さの違うペーストを川の字のように出力したり、交互に出力したりすることで、繊維質や単一素材では出せない食感を表現できる。従来の介護食は見た目もペースト状だったが、3Dフードプリンターで形成した介護食は立体で楽しく、食欲をそそるものになっていた。要介護者にも食べてもらいやすくなりそうだ。
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