料理家・冷水希三子(ひやみず・きみこ)さんが読者と私たち編集部のリクエストに応えて料理を作ってくださるという夢の連載。今回はクリスマスにもおすすめ、柚子(ゆず)を使った爽やかなスフレチーズケーキをご紹介します。
―― 冷水先生、こんにちは。気づけばもう師走ですね……。今年もあと少しです。
冷水 本当に、あっという間!
―― 12月はクリスマスもありますし、お正月もワクワクするしで、楽しいですね。
冷水 お料理する機会も増えますから、今月はリクエストが多いのでは?
―― おっしゃる通りです。毎年この季節はクリスマスのパーティーに向けたお料理やスイーツのリクエストが多くなります。
冷水 みなさん、やる気ですね!
―― 今回は「今年こそケーキを自作したいのだけれど、初心者でも作れて、かつゲストをちょっと驚かせるようなものはないだろうか?」というリクエストが来ています。毎度、毎度、欲張りですみません……。
冷水 ご自分でケーキを作る時点で、ゲストの皆さんは驚かれると思いますよ〜。
―― 私もケーキ作りは苦手中の苦手なのですが、何かひとつでも自信を持って作れるレシピを持っていたら、いざという時に助かるのになぁ……と常々思います。
冷水 なるほど。じゃあイベントごとでもデイリーでも活躍しそうなチーズケーキなんていかがでしょうか?
―― わあ、うれしい! でもチーズケーキって、ベイクド、レア、スフレなど、いろいろな種類がありますよね。混ぜて固めるだけの超簡単なレアチーズケーキは挑戦したことがあるのですが……。
冷水 今回は少し頑張ってスフレにしてみましょうか? フワフワで、見た目にも心躍りますよ。
―― スフレ! パーティーも華やぎそうです。
冷水 今日は柚子を使って、少し大人風味にしてみようかなと思います。
―― よろしくお願いします。
冷水 まずはクリームチーズ、サワークリーム、バター、牛乳をボウルに入れて、混ぜていきます。湯煎にかけてしばらく置いておくと、バターやクリームチーズがやわらかくなって、混ぜやすいです。
―― 湯煎って、ボウルにお湯を入れて、その中に材料を入れたボウルを浮かべるようなイメージだったのですが、先生はお湯を入れたフライパンを火にかけながら、そこにボウルを入れるんですね! こんな湯煎の仕方、初めて見ました!
冷水 あら、このほうがお湯の温度が下がらないし、楽じゃないですか?
―― 自分のやりやすい方法を探すのも、料理の工夫なんですね……。お、バターが溶けてきましたね。少し溶かすとスムーズに混ぜられてストレスフリーです。
冷水 別のボウルに卵黄と柚子の果汁を入れて溶き、先ほど湯煎して混ぜた材料のボウルに加えます。
―― わあ、柚子の爽やかな香り!
冷水 そして三つ目のボウルは粉類です。薄力粉とコーンスターチを一緒にふるって、先ほどのボウルに加えます。
―― 先生は粉類をふるう時も専用の「ふるい器」を使わないんですね。
冷水 ざるで十分です。
―― ケーキ作りは道具も色々必要で面倒臭い……というイメージがあったのですが、こうやって手持ちの道具で代用できるとわかれば、ハードルはグッと下がりますね。
冷水 次は全部の材料を一緒にしたボウルに柚子の皮を削って加えます。皮を入れることで、さらに香りが豊かになります。で、次はスフレの命でもあるメレンゲ作りです。卵白に砂糖を加えて泡立て器で攪拌(かくはん)するのですが、このとき、砂糖は2、3回に分けて入れるようにしてください。
―― さすがに泡立て器は電動のものが必要ですね。
冷水 頑張れば手動でも作れますが、なかなか大変なのでね。電動だと、あっという間にツノが立つくらいのしっかりしたメレンゲができます、ほら。
―― メレンゲ作りって難しいイメージがありましたが、本当、あっという間ですね。
冷水 完成したメレンゲを、全ての材料が入ったボウルに加えていきます。一度に混ぜようとせず、3回ほどに分けて加えるようにしてください。
―― メレンゲのフワフワをキープしたまま他の材料を混ぜるコツはあるんですか?
冷水 最初の1投目は“捨て”だと思っていいです。つまりメレンゲのフワフワがなくなってしまっても気にしない。2投目からは、底から全体を大きくすくうようにして、さっくりと混ぜれば大丈夫です。
―― 本当だ、生地全体がふんわりしていますね。
冷水 あとは型に流し込んで焼くだけです。まずは200度で20分。その後110度に下げて1時間ほど焼きます。
―― 2段階で焼いていくんですね。
冷水 最初に膨らませて焼き目をつけてから、じっくりしっとり温度を下げて焼きます。スフレチーズケーキは湯煎しながら焼くので、ケーキ型が収まるサイズの耐熱性バットを用意してください。
―― オーブンの天板ではダメなんですか?
冷水 型の高さの7割くらいまで湯を入れたいので、オーブンの天板では少し深さが足りないかもしれません。ご自宅の天板をチェックしてみてください。
―― はい!
冷水 バットに熱湯を入れたら、あとはオーブンへ。
―― 生地がだんだん膨らんでくるのを見るのもワクワクしますね……。
冷水 スフレチーズケーキは繊細で、オーブンから出した直後に型から外そうとすると崩れてしまいがち。粗熱が取れるまでじっと我慢です。
―― 焦りは禁物ですね。
冷水 冷蔵庫で冷やして食べてもおいしいので、ケーキを出したい時間から逆算して、余裕を持って作ることをお勧めします。
―― はい!
冷水 さて、今日はあらかじめ作って冷やしておいたものがあるので、ぜひ召し上がってください。
―― フワフワ食感が優しいです〜。柚子の香りがすごく上品。スフレって、口に入れた瞬間に独特のシュワッとした食感があってそれが魅力だと思うんですけど、ちゃんと理想的なシュワ感が出てます。これが家で作れるなんて、すごい!
冷水 よかったです。材料も工程もそこまで複雑じゃないので、ぜひ挑戦してみてください。
―― フルーツのトッピングがないシンプルな見た目のケーキなのに、香りと風味で果実を感じられるって、すごく素敵だと思います。
冷水 柚子は冬の果実なので、季節感も出ていいですよ。お茶と一緒に召し上がるなら、ベルガモットティーなど、同じ柑橘系の紅茶を合わせるのもおすすめです。
―― 素敵ですね。ぜひ真似してみます!
スフレ柚子チーズケーキ
材料(16cm型)
-
クリームチーズ
150g
-
サワークリーム
50g
-
バター
30g
-
牛乳
30ml
-
卵黄
3個分
-
柚子の果汁
小さじ1
-
柚子の皮
1/2個分
-
薄力粉
15g
-
コーンスターチ
20g
-
卵白
3個分
-
砂糖
55g
- Aの材料すべてをボウルに入れ、湯煎しながらやわらかくなるまで撹拌する。
- 別のボウルに卵黄と柚子の果汁を入れて溶きほぐして、湯煎から外した1.のボウルに加え混ぜる。
- 薄力粉とコーンスターチを一緒にふるい、2.のボウルに加え混ぜる。その後、ざるなどを使って漉(こ)す。
- 柚子の皮を削って、3.に加えて混ぜ、粗熱を取る。
- 卵白に砂糖を2、3回に分けて入れながら、泡立て器でツノが立つくらいまで硬く泡立てる。
- 4.のボウルに5.を3回ほどに分けて加えながら、混ぜる。
- 型の側面と底にオーブンシートを敷き、6.を流し入れる。型に合わせたバットにのせ、型の7割ほどが浸かるくらいの熱湯を入れて湯煎した状態で200度に予熱したオーブンで20分焼く。その後、温度を110度に下げて1時間焼く。
*焼き上がってすぐはうまく型から外せないので、粗熱が取れてから外すこと。冷蔵庫で冷やして食べてもおいしい。
からの記事と詳細 ( フワフワ、シュワ。柚子香る大人のスフレチーズケーキ - 朝日新聞デジタル )
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