テレビを見るときに、「役に立つ」とか「勉強になる」とか、ほとんど考えていないし、むしろ、そうじゃない番組ばかり見ているような。でも料理番組だけは、違うかもしれない。すぐに使えるノウハウが出てくると、おっ見ていてよかった、と思ったりする。それはたとえば…。 〈焼きそば用麺は袋ごと電子レンジで加熱することで麺がほぐれやすくなる〉 というような話。これを教えてくれたのは、タレントの国分太一さんと料理家の栗原心平さんがトークをしながら料理を作る番組『男子ごはん』(テレビ東京系、毎週日曜)。「心平ちゃん」と「太一くん」の軽妙なやり取りが好きで、時々見ている。 番組では、ちょっとした料理のコツを「シンペイズポイント」と呼んでいるのだが、汁なしスーラータン麺の際に出てきたのが、この小技。焼きそばの麺をそのままフライパンに投入するのではなくて、先に電子レンジで(2袋を600Wで3分)温めていた栗原さん。「僕はね、絶対やります」と言い切っていた。 さっそく翌日、昼食の焼きそば作りで試してみたら、あら簡単。ほぐれるほぐれる。これまで水を足して蒸らしながら懸命に箸を振っていたのはなんだったのか。手順が増えても、こっちが楽だし、なにより箸の通りが気持ちいい。「絶対やります」派に仲間入りすることにした。 そうやって番組でクローズアップされるポイントだけでなく、具材への包丁の入れ方や、調理道具の扱い方、栗原さんの所作がいちいち勉強になる。炒めているときにちょいちょいと油を足すとか、調味料を合わせるときにみりんを先に入れてアルコールを飛ばす段取りとか、シロウトには「そうか!」と気づかされることが多い。 ただ、肝心のメニューはなかなか増えない。実はわが家ではそれこそが喫緊の課題なのだ。カレーやシチューといったお手軽ローテーションに走りがち。子供も喜ぶので、回数が増える。夜作ったら朝も食べるので、給食とかぶったりすると「3食連続カレー」も。小技ばかりうまくなってもなぁ…。あ、焼きそばをレンジに入れることより、スーラータン麺のレシピの方を覚えればよかったのか。(ライター 篠原知存)
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