ラーメンWalkerがテーマを決めて名店店主とともに新たなラーメンをお届けする企画。2022年8月10日~15日は、巣鴨『まるえ中華そば』が出店した。今回のテーマは、ラーメン×ビールの幸福を味わう「夏のビール党のためのラーメン」。ラーメン凪出身の店主・惠本将裕さんが目指したビールにぴったりのラーメンは、豚と煮干しメインの強めのスープにたっぷり煮豚を継ぎ足した、6日間かけて旨味が加速するラーメンだ!
とんこつラーメンの聖地・福岡出身の店主が、すごい煮干しラーメンに衝撃
惠本将裕さんは、福岡県北九州の小倉出身。中学時代はボクシングでオリンピックを目指し、高校時代は友達に誘われてサーフィンに夢中になり、25、6歳の時に地元で友達と始めたヒップホップグループが東京でデビュー…と紆余曲折を経て、たどり着いたのがラーメンだった。
九州と言えばとんこつラーメンの聖地。しかし、30歳の時に出合ったのは、『すごい煮干しラーメン凪』。「いろんなことをやりながら、いつか飲食店をやりたいという思いがあって。その頃、働いていた中野の中華屋の社長が歌舞伎町に飲みに連れて行ってくれて、深夜に食べたのが新宿ゴールデン街のラーメン凪だったんです。ベロベロに酔っぱらってたけど、すごく衝撃を受けたのを覚えてます」と惠本さん。それから半年で100軒くらい食べ歩いたが、やはり一番印象に残った凪の門戸を叩いた。
極狭な店舗でスープも炊いてラーメンを作るゴールデン街の凪は、中に入ったらまさにびっくり箱。すごく刺激を受けたという。「深夜番だったので夜働いて、家に帰ってからも毎日スープを炊きました。初めはわからなくてラーメン1杯分もスープがとれなかったり、土鍋で仕込んだり(笑)」。修業しながら自作も繰り返し、独立を目指した。
「持論ですけど、365日作り続けたら365個のレシピができる。それが一番近道だと思ったんです」。惠本さんのラーメン道は、365日日替わりの創作麺で研究を重ねて、強烈な煮干しラーメンにたどり着いた凪の代表・生田さんに通じるものがあった。
2014年、凪から独立して、最初に始めたのは間借り営業だった。「175R(イナゴライダー)のボーカルSHOGOが幼馴染で、独立も相談したんですね。それでSHOGOがやってた中目黒のお好み焼き屋さんを間借りして『らーめん 惠本将裕』をオープンしたんです」。凪譲りの煮干ラーメンから始まり、2週間に1回のペースで限定麺も積極的に出しながら、いろんなラーメンにチャレンジしていった。
2020年7月、巣鴨に2号店『まるえ中華そば』を開業。「最初は煮干ラーメンの予定だったんですが、生田さんにもアドバイス受けながら、作りたいラーメンをイメージしながら食べ歩いたんです。佐野ラーメンや白河ラーメン、群馬県桐生のラーメン、喜多方ラーメンと、北関東から磐越地域のラーメンにすごく響くものがあって、その辺のラーメンを自分流に味を落とし込んでいって今のラーメンになったんです」。
そうして作り上げた豚と煮干しの清湯スープに合わせるのは、タンドリー釜で焼いた絶品チャーシュー。「1000℃近くで焼き上げると、肉の表面がガチっとしまり、余計な脂が落ちないんですよ」。
タンドリー釜と出合って、ラーメン作りが変わったという。「どういうふうに肉を調理したら美味しいチャーシューができるか、ここ2年間ずっと考えてきたんです。うちの店長たちとも毎月食べ歩きをして、移動中に車の中であーでもないこーでもないってラーメンの話をしながら。今では、チャーシューに対する考え方もすごく変わってきました。まだまだですが、美味しいと思ってもらえるものが提供できる、その入口に立てたと思います」。惠本さんが表現したいラーメンが2号店で形になっていった。
夏にぴったり!ビールに合う、豚の旨味あふれるラーメン
今回、ラーメン×ビールの幸福を味わう「夏のビール党のためのラーメン」のテーマに合わせて作り上げたラーメンは、「一番はボディを強く。もともと巣鴨店で出している豚清湯スープに、煮豚を入れて豚の旨味を足していく。これを毎日継ぎ足すので、ベースは同じですが毎日積み上げた味になるんです」。現在、巣鴨店も中目黒も同じやり方でスープを作っている。「出店は6日間ですけど、どんどん肉を入れてどんどん旨味出して、よりよいスープになったと思います」。タンドリー釜で焼いたチャーシューではなく煮豚を選んだのは、旨味たっぷりのスープのためだった。
「あと、柔らかい肉ってみんな好きじゃないですか。いろいろなチャーシューがあると思うんですけど、子供の頃に食べた記憶の中で、旨い肉って柔らかい肉というイメージなんですよね。それをしょっぱくしてビールに合うように作りました」。まさにビールが売り切れるほどの勢いで、肉の美味しさが際立った。
麺は、店と同じ手揉みの自家製麺。「巣鴨で15時間くらいかけて、夜鍋して麺を打ってました(笑)」。店では注文が入ってから麺を切るところを、出店ではオペレーション上それが出来ないので、店で切って持参した。
店内に漂う香りとお話を伺うだけで美味しさが伝わってくる。待ちきれず「塩中華そば」を作っていただいた。不揃いな手揉みの自家製麺を啜り上げると、その旨さと、思ったより長い麺線に気づく。「麺線は2mくらいと、あえて長いんです。手打ち麺って機械と比べて圧があんまりかけられないのでどうしても切れちゃう。その分、長くしといたほうが啜りやすくなるんです」。
1杯のラーメンに集中して突き詰めて、いま最高の味に!
もう1品は、店で通常提供しているまぜそばの構成を変え、博多の地鶏を使ったまぜそばだ。「地元が福岡県なので肉屋さんに相談して、はかた地どりの脂を取り寄せました。やっぱり地元のものも出来る限り使いたいのと、うちの麺との相性もよかったので。鶏の旨味って美味しいじゃないですか。豚のスープを出してて言うなって話ですけど(笑)」。
豚も美味しいけど、鶏も美味しい。それではということで、この2つを掛け合わせた特別な限定が出店途中で追加されるという、惠本店主から嬉しいサプライズが!
「はかた地どりの塩中華そば」と、チャーシューをたっぷりトッピングした「はかた地どりのMIXチャーシュー麺」が加わったことで、予想を上回る大盛況となり、最終日は早い時間での売切れとなった。
中目黒で開業した当初は、いろいろなラーメンにチャレンジしていたが、現在、頻繁に限定をやらなくなったという。「前はいろいろなラーメンを作ることが自分の勉強になると思ってやってたんですけど、1杯に集中することで分散してた力が1杯にまとまると思ったんです」。
これまで、店舗を展開しては撤退したこともある惠本さんだが、「負けの数だけ強くなると思ってるんで。だいぶ遠回りしましたけど、常に今日が最高点のラーメンを目指して作っています」と失敗を糧に次に生かしてきた。以前は、世界進出や店舗展開を目標に突き進んできたが、今はあまり先を見すぎなくなったという。
「肉を焼き、手打ち麺になってから、職人としてしっかりとした技術をもっと鍛え上げていきたいという思いが強くなりました。職人として自信も技術もついてきたら、次の人にしっかりパスできるように職人を育てていける店作りをしていきたいと思ってます」と、今の意気込みを語った。
昨年は店を休業しての出店だったが、今年は店をスタッフに任せて営業しながらの出店。1年経って成長した『まるえ中華そば』に、「旨味がすごい!」「箸が止まらない」「来てよかった」と、たくさんの賞賛の声とともに、幸せな笑顔あふれる6日間だった。
まるえ中華そば 巣鴨店
東京都豊島区巣鴨1-14-1 プラトーサカ 1F
11時30分~16時/17時~20時 日祝11時30分~19時
水曜休
※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。臨時休業など、詳しくはお店の公式ツイッター(https://twitter.com/ramen_emoto)をご確認ください。
ラーメンWalkerキッチン
埼玉県所沢市東所沢和田3-31-3-205
TEL04-2968-7786
JR武蔵野線「東所沢」駅徒歩10分
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