宇宙航空研究開発機構(JAXA)は17日、国際宇宙ステーション(ISS)で行なっているX線突発天体の即時観測計画OHMAN(オーマン)で、連携観測に成功したと発表した。
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宇宙ではどこかで新星爆発が起こっている。おうし座のかに星雲のように地球に比較的近い場所で起こった現象なら位置特定は容易で、残骸が星雲としてシンボルマークになることもある。
だが、広い宇宙の遥か彼方で起こる新星爆発には、シグナルを観測機器で捉えたとしても、ごく短時間(多くは24時間以内)で、消失してしまうものもある。このような天体はMUSST天体と呼ばれ、現在7個存在が確認されているが、なぜごく短期間で消失してしまうのか謎のままだ。
JAXAでは、ISSに搭載された全天X線監視装置MAXI(マキシ)で、2009年8月15日から全天のX線天体監視を開始しており、2015年末までに14個の新X線天体を発見。うち半分がMUSST天体と判明している。
だが従来、発見から追跡観測までに要する時間は、MAXI観測データをいったん地上に送信し、改めて別の観測衛星に情報送信してから追跡観測させるため、最短でも3時間程度を要した。これを短縮させなければ、観測網にかかった天体の半分は素性を確認できないままになってしまう問題があった。
この問題を解消し、MUSST天体の謎の解明につながる新しい取り組みがOHMANプロジェクトだ。このプロジェクトでは、MAXIに、NASAがISSで運用しており狭域詳細観測を得意とする観測装置NICER(ナイサー)を連携させた。
それぞれ違う目的で設置されていた観測機器だが、この連携により、広視野のMAXIで捉えた新X線天体情報をISSで即座にNICERにつなげ、新天体に的を絞ったスポット観測が10分以内に実施可能となった。
この研究は、JAXAの他、理化学研究所(理研)、中央大学、日本大学、青山学院大学らが参加する国際研究グループにより行なわれている。8月10日からプロジェクトを開始し、9月13日に連携観測に成功したという。
これにより、発見から10分以内に消失する現象は取り逃がしてしまうかもしれないが、10分以上シグナルが継続されていれば、確実に取り逃がしなく追跡観測が可能になったわけだ。
新星の多くは、ブラックホールや中性子星を含む連星系で天体同士が合体する際に生じる現象と解されているが、その進行プロセスをリアルタイムに観測できるチャンスは従来ほとんどなかった。今回のOHMANプログラム始動により、今後の新星研究の飛躍が期待される。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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