Pages

Tuesday, March 3, 2020

「戦争なんかするものではない」94歳の料理家・タミ先生が伝えたいこと - 西日本新聞

おにぎり握ろう 94歳タミ先生と(下)

 大正、昭和、平成、そして令和と生きてきた福岡市の料理研究家、桧山(ひやま)タミさん(94)は、私たちにとってまさに「時代の語り部」と言ってもいい存在のように思えました。料理や戦争体験などタミさんの味わい深い語りに耳を傾け聞いたお話と私たちの感想を読んでください。

【紙面PDF】おにぎり握ろう 94歳タミ先生と

 太平洋戦争中、食べ物のことでたびたびつらい思いをしました。当時は子どもも「勤労奉仕」として軍の工場などで働きました。女学生だった私も軍用機を作る工場で作業をしました。

 あるとき工場でお菓子が配られた。でもなぜか女性はもらえなかったの。そんなに物が少ないの? それとも男性を優遇したの? 本当にくやしくてね。「人を大事にしない国は戦争に負ける」と友達に話したら「憲兵(軍隊の警察)に聞かれたら大変なことになるよ」と注意されました。

 工場があった近くの駅では米軍の戦闘機に電車が銃撃され、子どもを含む大勢の人が亡くなった。福岡大空襲では、私は別の場所にいて難を逃れましたが、家に帰って、残っていたわずかな米を炊いておにぎりを握り、焼け出された人に配ったことを覚えています。

 この空襲では家の近くにあった銀行の地下室に逃げ込んだ人がたくさん亡くなった。今でもそのあたりを歩くと思い出して、つらい。

 当時はね、本当に食べるものがなかったの。道ばたの草でも味付けを工夫すればおいしく食べてもらえるのではと思い、料理を学ぼうと決意したんです。

 今、日本中で戦争の記憶がだんだん薄まっているようで心配しています。「自分の国だけがよければそれでいい」ではいけない。ゆずりあったり、思いあったり。これからのみなさんは隣の国の言葉くらいは学んでおいたほうがいいね。

 とにかく戦争なんかするものではないよ。

ご飯、最高においしい 福岡県久留米市・日吉小4年 池上颯真記者

 自分たちで作ったご飯は最高においしかった。一番大変だったのは卵焼き作りだった。うっかり熱い卵焼き器にふれてしまった。「お母さんはいつもこんな苦労をしながらご飯を作っているんだな」と思った。

 戦争中の話を聞き、「戦争なんかするものではないよ」というタミ先生の言葉に共感した。戦争は二度とあってはならない。

 家に帰ってお母さんとお父さんにおにぎりを握った。

 「自分で作ったものよりもだんぜんおいしいよ」と言われて、料理を食べてもらう喜びに気づいた。

生活は便利になったが 福岡県福津市・津屋崎小6年 老松杜彩記者

 料理をしていて気づいた。私は料理は難しいと思い込んでいた。こつをつかめば意外と簡単においしく作ることができた。これまでは料理は難しいからと手伝いをまったくしたことがなかった。これからは自分で料理を作ったり手伝ったりして、母や祖母に感謝の気持ちを伝えたい。

 戦争の話を聞いて、水や食料、衣服がたやすく手に入る今、生活は便利になったと思う。しかし食べ物や料理の大切さを思う力は、生活の向上とは反対に低下したのではないか。戦後の日本が全てにおいて進化しているとは言い切れない。

自分で栄養管理しよう 福岡市・玉川小4年 河原綾音記者

 私のタミ先生の第一印象は「優しい」。米はといで土鍋で炊き、卵焼きはしょうゆや砂糖の量を調整しながら作った。みそ汁はにぼしとこんぶでとっただしを使った。自分で作った卵焼きは母のものとはまたちがうおいしさだった。

 戦争中、道ばたの草でも味付けを工夫すればおいしく食べられるのではと考え、料理を学ぼうと決心したという話が心に残った。私は草にはポン酢やしょうゆがいいと思った。

 それはさておき、現代人は塩分や油をとりすぎだと思う。私も自分で栄養の管理をしようと思った。

野菜育てて料理したい 福岡県福津市・福間南小5年 西山麻耶記者

 今は戦時中と違って食べる物があふれている。私は食べるものがなくて困ったことが一度もないが、食べるものや水がなくて困っている国が世界にはたくさんあると思った。

 タミ先生によると「家庭」とは「家と庭」のことだそうだ。私の母が小さい頃は、庭で鶏を飼って毎朝卵をとってきたり、庭で育てた大根やネギでみそ汁を作ったりしていたそうだ。庭があることで食べることが今よりも身近だったのだと感じた。私は今マンションに住んでいるが、自分で食べる野菜を育てて、料理をしてみたいと思った。

「おいしくなーれ」の魔法 福岡市・松島小5年 吉田渚紗記者

 米は人と似ている。人はのどがかわいていると水をたくさん飲む。米もかわいているから最初の水をごくごく吸い取る。だからにごった水を米が吸い込んでしまわないようにすぐに捨てる。この話を聞いたとき、おもしろいなと思った。

 おにぎりを作るときは、中にご飯を入れた茶わんをマラカスのように軽く振った。同じ料理でもやり方を変えるだけでこんなにおいしくなるんだ。「おいしくなーれ、おいしくなーれ」。この日に習ったこと、おいしくなる言葉の魔法を家でもやってみよう。ああ料理って楽しいな。

Let's block ads! (Why?)



"料理する" - Google ニュース
March 04, 2020 at 01:21PM
https://ift.tt/39mZEvY

「戦争なんかするものではない」94歳の料理家・タミ先生が伝えたいこと - 西日本新聞
"料理する" - Google ニュース
https://ift.tt/2YrpIRH
Shoes Man Tutorial
Pos News Update
Meme Update
Korean Entertainment News
Japan News Update

No comments:

Post a Comment