コロナ禍はホテル業界にもこれまでにないような大きな打撃を与えている。130年にわたり日本の迎賓館としての役割を担ってきた帝国ホテルも他ならない。
「いつもお客様でいっぱいだったロビーにお客様がいない。当たり前のことを当たり前にできなくなったことで、食材から食事の提供方法まで見直す時間ができ、コロナ禍を未来につなげる機会と捉え直しました」
こう話す杉本東京料理長は2019年に38歳という若さで同ホテルの料理長に就任した。フランスを中心とした欧州で13年間本場のフランス料理に接し、ヤニック・アレノ氏、アラン・デュカス氏という著名なシェフの元でも研鑽を積んだ杉本東京料理長は帝国ホテルの食のサステナビリティの根幹をフランス料理の考え方に置いているという。
「フランス料理というのは地方料理の集合体です。ですから地産地消が基本。たとえば鯛1匹を調理する場合も、切り身はグリルに、頭や骨はソースのベースとして使いきるといったように、その土地で取れた食材をいかに余すところなく使い切り、その魅力を引き出すことができるかというところに価値を求めます」
ホテル内の飲食全体を監修する立場の杉本東京料理長は、ホテル全体を見たときに、ロスになってしまう食材をレストランの枠を超えて使用するなど、これまでの型にとらわれない食品ロス対策も進める。そのひとつが廃棄してしまいがちな部位を、現代の調理法で料理に生かすという考え方だ。
たとえば、レモンの皮や根菜類の皮を低温オーブンでじっくり焼いて、パウダー状にして塩を混ぜる。製造過程で余ったパン生地をミックスし、また新たな風味のパンを作り出すなど食品ロスを減らす新たな試みに挑戦する。
「欧州の一般家庭でも固くなったパンを牛乳と卵に浸して焼き、フレンチトーストにする習慣があるように、これまで廃棄されたり、使われていなかった部分から新しい味を作り出すことはフランス料理の基本的な考え方にあるものです」
からの記事と詳細 ( 帝国ホテルの食におけるサステナビリティとはーー東京料理長の革新から考える | SUSTAINABLE BRANDS JAPAN - 株式会社 博展(サステナブル・ブランド企画推進室) )
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