DNAレベルで親しみを感じるポルトガル料理
「その土地の人は何を食べるのか?」を知りたいと、世界中を旅しながら現地人が集う食堂や屋台をめぐり、ローカル飯を食べ歩いてきた旅料理人のキクタローさん。
東京を中心に彼が開催するポップアップイベントでは、トルコ、台湾、北欧など、キクタローさんが各国で見てきたディープなローカル飯を食べられるとあって、ただ今話題沸騰中です。
なかでもポルトガル料理はキクタローさんの十八番の一つ。正直どんな料理なのかパッと思い浮かばない人も多いと思いますが、ポルトガル料理は日本人にとてもなじみやすい味わいで、DNAレベルで親しみを感じるというキクタローさん。
キクタロー:ポルトガルはヨーロッパでもよくお米を食べる国で、イワシやタラなどの魚を日常的に食べるところも日本とすごく似ています。ポルトガルから日本に伝来したものは多いので、いろいろな場面で歴史的な関連を考えたりするのが面白かったです。
例えばリスボンで海鮮のリゾットを食べている時に、ふと日本の鍋の締めの雑炊みたいな雰囲気を感じて、これも日本と繋がっているのかな? と思ったり。
あと、やっぱりユニークなのがバカリャウ(塩漬けのタラ)ですね。塩漬けにして干すことで保存性が上がるし、焼いたり揚げたりとアレンジも効く万能食材。365日違うバカリャウ料理が食べられるほどレシピが豊富らしいので、僕ももっといろいろ食べたいと思っています。
今日はお酒のつまみにもぴったりの手軽にできる3品を紹介するので、ぜひ作ってみてください。
それではさっそく、クッキング começar(スタート)!
~本日のローカル飯 ポルトガル~
玉ねぎのソフリット
ビファーナ(豚肉のサンドイッチ)
バカリャウ・ア・ブラス
豚肉とアサリのアレンテージョ風
【下準備】まずは「玉ねぎのソフリット」作りから
まず初めに、ビファーナ(豚肉のサンドイッチ)とバカリャウ・ア・ブラスの2品で使う「玉ねぎのソフリット」を作っておきましょう。
ソフリットとは香味野菜をじっくり炒めたもの。今回はシンプルに玉ねぎだけを使います。作っておくとどんな料理にも使える、万能うまみ調味料的存在です。
材料(作りやすい分量)
- 玉ねぎ 1個
- オリーブオイル ひと回し
- 塩 少々
- ローリエ あれば
手順
まずは玉ねぎを角切りにする。
深めの鍋に玉ねぎとオリーブオイル、塩、ローリエを入れて、蓋をして弱火で蒸らすように炒める。 玉ねぎの水分が飛ばないように気をつけながら、しっとりしたキツネ色になるまで炒めたら完成。
【1品目】 ビファーナ(豚肉のサンドイッチ)
ポルトガルで定番のファストフード的サンドイッチ。マリネした豚肉を特製トマトソースでしゃぶしゃぶしてパンに挟んで食べます。日本でいうなら牛丼のようなポジションで、街には数件のビファーナ店があり、ランチやおやつに食べられているそう。
キクタロー:豚肉をマリネする「マッサ(マッサ・デ・ピメンタォン)」という、パプリカを塩漬けにして発酵させペースト状にした調味料を使うと、一気に味が本格的に。市販しているので、通販サイトや輸入食品を扱っているスーパーで探してみてください!
材料(2個分)
- パン(チャバタがおすすめ) 2個
(豚肉のマリネ)
- 豚肩ロース薄切り(生姜焼き用でも可) 200g
- おろしにんにく 小1個
- マッサ 大さじ2
- 塩 ひとつまみ
(ソース)
- ホールトマト 1缶
- トマトペースト 大さじ1
- 玉ねぎのソフリット 大さじ3
- おろしにんにく 少々
- オリーブオイル 大さじ1
- ビール 大さじ2くらい
- 塩コショウ 適量
- クミン お好みで
手順
1. 豚肉をマリネする
ボウルに豚肉、おろしにんにく、マッサ、塩を入れて混ぜ、よくなじませる。冷蔵庫で60分間以上、または一晩漬けておく。
2.ソースを作る
鍋にオリーブオイル、おろしにんにくを入れ、香りが出たらホールトマトを投入。
ホールトマトを潰しながら煮て、ぐつぐつしてきたらクミンを少々入れても良い。玉ねぎのソフリット、ビールを入れてしばらく煮る。
グツグツ煮えたら、ハンドブレンダー or ミキサーでソースをペースト状にする(飛び散り注意!)。塩コショウで味をととのえる。
3.マリネした豚肉をソースで煮る
ソースに豚肉を入れて火を通す。
ソースをたっぷりまとわせた豚肉を、パンにサンドして完成。
温かいうちにかぶりつきましょう!
【2品目】バカリャウ・ア・ブラス
ポルトガルの国民食、バカリャウ(塩漬けのタラ)と細揚げポテトの卵とじ。
冒頭でキクタローさんが話していた通り、365日違う食べ方ができるほど豊富なレシピがあるバカリャウ料理。スーパーにはバカリャウ売り場が必ずあり、そのエリアはすこし香りがキツイらしい。日本では手に入りにくいですが、切り身のタラで代用可能。サグレスビール(ポルトガルの国民的ラガービール。後ほど紹介します)との相性がたまりません!
キクタロー:ポテトはちょっと面倒ですが、二度揚げでカリッと仕上げるのがポイントです。時短したい時は細切りのポテトチップスでもOK。美味しくできます(笑)。
材料(作りやすい分量)
- タラ切り身 1/2切れ
- じゃがいも 2個
- サラダ油 じゃがいもが浸るくらい
- 塩 少々
- オリーブオイル 大さじ1
- おろしにんにく 少々
- 玉ねぎのソフリット 大さじ1
- 卵 1個
- ブラックオリーブ 30g
- 鶏ガラスープ 大さじ2くらい
- 魚醤 少々
- パクチー お好み
手順
1. 細揚げポテトをつくる
じゃがいもを5mmほどの細切りにする。キクタローさんのおすすめは、チーズグレーター(チーズおろし器 or チーズ削り器)の一番太い部分を使うこと。または千切り用スライサーでもOK。できるだけ薄いほうがカラッと揚がりやすい。
切ったじゃがいもはお湯で洗って水気をよくとり、
熱したサラダ油の中へ広げるようにして入れる。うすく色が付いたら一度取り出して、強火で二度揚げにする。
カリッとキツネ色に仕上げる。
2. タラを湯煎する
タラは塩をまぶし少しおいて、水で洗って水気をとる。
鍋にお湯(分量外)を沸かし、調理用ビニールバッグに入れたタラを投入。身がふっくらするように数分間湯煎で火を通す。
3. 仕上げる
フライパンにオリーブオイルとおろしにんにくを熱する。温まったら玉ねぎのソフリットをいれて軽く炒める。
水(分量外)に溶いた鶏ガラスープを入れてひと煮立ちさせたら、ほぐしたタラ、魚醤を少々、輪切りにしたブラックオリーブを入れて……
その上に、揚げたじゃがいもをのせる。
じゃがいもの真ん中に穴を作り、そこへ卵を割り落としたら……
手早く全体を炒め混ぜる。卵が半熟より少し硬いくらいに火が通ったら、お皿に移しパクチーをのせてできあがり。
【3品目】豚肉とアサリのアレンテージョ風
アレンテージョは食堂や家庭でもよく食べられるポルトガル南部の定番料理。じゃがいもが豚肉とアサリのスープを吸ってウマウマに。パクチーは冷蔵庫になかったら買いに行ったほうがいいレベルで、入れた方が美味です。
キクタロー:豚肉とアサリという、海の幸と山の幸を両方使ったユニークな一品です。豚肉は厚めの方がおすすめで、今回は豚バラ肉のブロックをカットして使っています。
材料(作りやすい分量)
(豚肉のマリネ)
- 豚バラ肉(厚め) 200g
- マッサ 大さじ2
- おろしにんにく お好み
- 塩 ひとつまみ
- アサリ(砂抜きしておく) 100g
- トマト 小1個
- じゃがいも 1個
- サラダ油 じゃがいもが浸るくらい
- パクチー お好み
- レモン お好み
- オリーブオイル 大さじ1
- 白ワイン ひと回し(あればヴィーニョ・ヴェルデ←記事後半で説明します)
手順
1. 豚肉をマリネする
ボウルに一口大に切った豚バラ肉、マッサ、おろしにんにく、塩ひとつまみを入れてなじませる。冷蔵庫で60分以上、または一晩漬けておく。
2.野菜を切る
じゃがいも、トマトはそれぞれ角切りにする。
仕上げ用のレモンは輪切りにして、さらに4等分のイチョウ切りに。
パクチーも刻んでおく。
3. じゃがいもを素揚げする
じゃがいもをこんがりするまで素揚げする(レンジで5分ほどチンしてから揚げると早く仕上がります)。
4.豚肉とアサリに火を通す
じゃがいもを揚げている間にフライパンにオリーブオイルをひき、マリネした豚肉を炒める。表面に火が通ったらアサリを投入して少し炒める。
白ワイン(あればヴィーニョ・ヴェルデ)を入れ、蓋をしてアサリが開くまで蒸す。
アサリが開いたら、角切りにしたトマトを加え、揚げたじゃがいもを入れて炒め合わせて……
仕上げにパクチーとレモンを散らして完成。
ポルトガルのローカル飯に合わせるお酒はこれだ!
さあ、いよいよ完成した料理をいただきましょう!
今夜はポルトガル料理なので、やっぱり現地のお酒を合わせたいですよね。
というわけで、キクタローさんにポルトガルの定番ドリンクも教えてもらいました。
キクタロー:一つは“緑のワイン”という意味の「ヴィーニョ・ヴェルデ」。微発泡でアルコール度数が低めなので、冷やしてグイグイいけます。
日本では「カザル・ガルシア」というブランドのものがスーパーでも手に入ります。価格も1本1,000円程度とリーズナブルですよ。
キクタロー:ビール派にはポルトガルの国民的ラガービール「サグレス」がおすすめ。あっさりドライながら、フルーティでホップな味わいを感じる飲みやすいビール。こちらもグイグイいけます。
ちなみに、ポルトガルの方はめちゃくちゃお酒を飲みます。天気の良い日はテラスで、ランチの時間帯からみんな飲んでいます。サグレスもポルトガル最大規模のビールメーカーで、現地では水より安いです(笑)。どちらもポルトガル料理と相性抜群なので、ぜひ合わせて飲んでみてください!
乾杯の音頭は「Saude(サウードゥ)」!
料理ができたら乾杯!
どれもシンプルな食材ながら、トマトやパプリカ、魚介や肉のうまみがよく効いてワインもビールも進みすぎる......。今夜の家飲みはポルトガルのローカル飯をアテに、旅行気分で楽しんでみませんか?
【プロフィール】
キクタロー
旅料理人。世界を旅しながら各国のローカルフードを吸収。日本でポップアップイベントやケータリング、フードスタイリングなどを行っている。趣味は山登りで、アウトドア料理も得意。
https://www.instagram.com/kikutaro.e.a.t.w/
書いた人:井上麻子
真綿のように軽いフットワークが自慢。カナダワーホリで日本酒にハマり、現在はフードライターと日本酒商社の二足のわらじで歩行中。ときどき都内某所でポップアップバー「SAKEナイト」を開催中。
からの記事と詳細 ( 日本人の舌に超なじむ「ポルトガルのローカル飯」は家飲みの最適解かもしれない【旅料理人直伝の3皿】 - メシ通 )
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