「アルペンジロー」は、尾瀬戸倉でロッジを経営していた沼田治郎さんが山を下り、1985年に生まれ故郷の横浜に開いた「スープカリー」の店。北海道のスープカレーとはまた違った独特のスープカレーが味わえる。
ルーには小麦粉を全く使わず、企業秘密というスープと14種類のスパイスで作り上げる。店のこだわりのひとつが肉。厳選した上質な肉のみを使い、若鳥、やまゆりポークに加え、牛は、ハラミ、サーロイン、リブロース、ヒレなど、カレーメニューとは思えないラインナップだ。
肉は注文を受けてから調理開始。フライパンとオーブンを駆使し、チキンは皮をパリパリに、ポークやビーフも絶妙な焼き加減に仕上げていく。最後にビーフは赤ワインで、ポークやチキンは白ワインでフランベ。見るからに旨(うま)そうな肉は肉汁まで余すところなく、別鍋に用意されたルーに投入。負けず劣らずの存在感の野菜と合わせて完成させる。今回は迷った揚げ句、3種類の肉が食べられる平日限定ランチの「鶏・豚・牛トリプルコラボカリー(税込み1250円)」を選択した。

フランベのたびに火が上がるオープンキッチンの臨場感を味わいながら、待つこと10分ほど。カレーとともに運ばれて来たのは、飯盒(はんごう)に入ったライスだ。米にもこだわりがあり、オープン当初から環境省・名水百選にも選ばれた栃木県の尚仁沢湧水(しょうじんざわゆうすい)を水源とする「杉山ファーム」のコシヒカリを使用。それをスープカレーに合う硬さに炊き上げ、飯盒で提供している。熱々にした飯盒に入れられたライスは、冷めにくい上に、ちょっとした登山気分でワクワクする。

シャバシャバのルーは、確かに北海道のスープカレーというより、インドカレーに近い。スパイス強めで筆者好みだ。肉汁が溶け込んでコクもある。そして、なんといっても肉が旨い。ふっくらジューシーな鶏肉は、スパイスと相まって本当においしい。じっくりと火を通したチキンの皮は、パリパリとした食感が楽しめる。赤身肉を使ったビーフも表面が香ばしいポークも申し分ないし、肉料理と言われても納得できる。

6段階ある辛さのレベルは山の名前で表現されていて、この日に選んだ2番目の辛さの「エベレスト(上級)」は筆者としては正解だった。辛いのが好きな人ならエベレスト以上をセレクトすることをお薦めする。
スープやサラダなどのセットメニューもあるのだが、驚くほどおいしかったのがコンソメスープ。企業秘密のルーに使われたスープはこれか? と自問自答。付け合わせの域を超えていた。隣のテーブルの艶(つや)やかな野菜のサラダを横目に、次回はサラダセットを必ず注文するぞと心に誓った。

「当店のスープカリーを楽しんでもらうのはもちろん、とにかく足を運んでもらったお客様に、ワクワクしてほしいと思っています」とは店長の北川陽一さん。その言葉の通り、山小屋風の空間や手際のよいサービスも心地よく、レシピにもサプライズがあって満足度の高い時間が過ごせるのだ。
からの記事と詳細 ( 熱々の飯盒(はんごう)ライスと肉にこだわるスープカレー「アルペンジロー」(横浜・伊勢佐木町) - 朝日新聞デジタル )
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