Valveが発表し話題の「Steam Deck」。PC本体と7インチ液晶ディスプレイ、そしてコントローラーが一体となった携帯型PCゲーム機だ。そのコントローラー部の操作感はどのようなものか興味深いが、実際に所有し長く利用するうえでは、耐久性も気になるところ。特に、アナログスティックに“ドリフト”現象が発生するのかどうかは懸念ポイントだろう。ただValveは、その耐久性については自信をもっているようだ。
Steam Deckのアナログスティックには、静電容量式タッチセンサーを内蔵した、フルサイズのパーツが2本搭載される。Nintendo SwitchのJoy-Conのようなコンパクトなタイプではなく、Xboxコントローラーなどと同等の、本格的なアナログスティックとなるようだ。もちろん、押し込みでのR3/L3操作も可能。静電容量方式のタッチセンサーは、ユーザーの指がスティックに触れているかどうかを検出する用途とのこと(IGN)。
そしてアナログスティックにつきまとうのは、いわゆる“ドリフト”現象への懸念である。すなわち、ユーザーがスティックに触れていないのに、勝手に入力操作がおこなわれる不具合だ。ポインタがフラフラと漂流(Drift)するような挙動をみせることから、ドリフトと呼ばれている。どのアナログスティックでも発生し得るとされるが、近年はNintendo SwitchのJoy-Conでの報告が多く聞かれる。
海外メディアIGNのインタビューにてドリフトへの懸念について尋ねられたValveのハードウェアエンジニアYazan Aldehayyat氏は、Steam Deckではすべての操作系統について、あらゆる環境下での全面的なテストを、膨大な時間をかけて実施してきたと述べる。その結果として、一般的にどのようなパーツもいずれ故障する可能性はあるとしたうえで、ValveはSteam Deckのパーツの性能には非常に満足しており、ユーザーも大いに気に入ることだろうと自信を語る。
また、Steam DeckのデザイナーJohn Ikeda氏は、Valveとしてはリスクを負いたくはなく、それはユーザーも願うところだろうとコメント。そのため、どのような性能をもつパーツなのかを理解した上で選定をおこなったとしている。Steam Deckには、高い信頼性が確認されたパーツが搭載されるということのようだ。Steam Deckの公式サイトでも、アナログスティックはクラス最高のパーツを採用し、ほかのポータブルゲーミングデバイスにはない、高レベルの精度と快適さを提供するとしている。
なお、Steam Deckに採用されたアナログスティックパーツの具体的な素性については明かされていない。ちなみにファンのあいだでは、発表されたレンダリング映像から、ゲームパッド向けに多く採用されているAlps社製のものと構造がよく似ているという指摘がある。
*紙片を内部に挟み込みJoy-Conドリフトを修理するユーザー。なお分解行為は、保証が切れ、任天堂による修理を受けられなくなる可能性があるため注意。
アナログスティックのドリフト現象は、XboxコントローラーやPS5のDualSenseなどでも報告があるが、先述したようにNintendo SwitchのJoy-Conでの発生例が目立つ。一部の国では、任天堂を相手取った集団訴訟にも発展しており、同社は海外では保証期間内かどうかにかかわらず無償修理を受け付けるなどの対応をおこなっている状況だ。また、ネット上では上の映像のように、独自の修理法を編み出し共有するユーザーも後をたたない。
新たにハードウェアを送り出すValveが、訴訟を含めユーザーに不都合を与えるリスクを負いたくはないと考えるのは自然だろう。もっとも、どのメーカーも膨大なテストを経て製品を発売している。Steam Deckのアナログスティックが、今回Valveが主張したとおりの性能をみせるのかどうかは現時点では何ともいえないが、実際にドリフトの不安なく楽しめることを期待したい。
Steam Deckは、アメリカ・カナダ・イギリスおよびEU向けに2021年12月発売予定。そのほかの地域には2022年に発売される予定だ。
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