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Thursday, October 21, 2021

「料理体験が一変する」 料理が楽しくなる、プロ一押しのキッチンウェア - 朝日新聞デジタル

コミュニティー・プロデューサーの水代優さんに、暮らしを知的に楽しむアイテムを紹介してもらう連載「水代百貨店」。前回に引き続きキッチンウェアを紹介します。

水代さんがメーカー名を気にせず購入したアイテムの中から、「もう使う前には戻れない」と絶賛する料理小道具を紹介します。

料理体験を劇的に変えるアイテム

前回は僕が本気でオススメしたいキッチンウェアをブランド別に紹介しました。ただ、それはブランド物が良いという単純な話ではありません。僕がキッチンウェア選びで重視するのは、ユーザーとしての「体験」。便利で、面倒くささから解放してくれて、手ざわりが気持ちよくて。そんな自分の期待をはるかに超えるような道具に出合うたびに、キッチンに立つ楽しみがまた一つ増えていきます。

今回は僕にテンションの上がる「体験」をもたらしてくれたキッチンウェアを、用途別に紹介します!

01. シリコン製の菜箸、おたま、ヘラ

「料理体験が一変する」 料理が楽しくなる、プロ一押しのキッチンウェア
水代さんが愛用するシリコン製の料理道具。右から二つは、おなじみのル・クルーゼ製品(野呂美帆撮影)

まずは菜箸、おたま、ヘラ。炒める、混ぜる、すくうといった一連の手作業に欠かせないこれらのツールは、今日からすべてシリコン製に取り換えましょう!というのが僕の主張です。

特有の弾力と滑らかさがあって、具材を練ったりかきまぜたりするのにこれほど優秀な素材はありません。柔らかいからボウルやフライパン、鍋の表面を傷つける心配もご無用。これが、木やステンレス製のヘラ、おたまとの決定的な違いです。

鍋肌にしっかりフィットするので、カレーやスープ、ソースなど液状の料理も最後まで一滴残らずすくい取ることができます。微妙に鍋底に残ってしまう、あのストレスから解放されるんです。

シリコンと聞くと、「熱に弱いのでは?」と不安を口にする人がいますが、現在のシリコンは耐熱性が進化していて、僕が使っているシリコン製のおたまなどは300度の高温にも耐えられます。

このシリコンの魅力に出合って以来、水代家ではヘラ、おたま、菜箸と1アイテムずつシリコン製に入れ替わっていきました。唯一、木製の“牙城(がじょう)”は、しゃもじくらいでしょうか?もはや、シリコンのないキッチンライフを思い出すことができません。

「料理体験が一変する」 料理が楽しくなる、プロ一押しのキッチンウェア
メーカーを問わず、シリコン製のアイテムを薦める水代さん。素材の柔らかさが料理中のストレスを減らすという(野呂美帆撮影)

02.食卓をリッチに彩るカトラリー

「料理体験が一変する」 料理が楽しくなる、プロ一押しのキッチンウェア
シルバーのカトラリーは「ジャスパー・モリソン」。ブルーとゴールドのコンビネーションのカトラリーは「クチポール」(野呂美帆撮影)

カトラリー(ナイフ、フォーク、スプーンの総称)は、ホームセンターや100均でも売っています。それをうまく活用するのももちろんアリですが、ちょっとリッチなものを使うと日々の食事体験がガラリと変わります。

次の二つは僕が愛用している普段使いのカトラリーと、特別な日に使う“勝負カトラリー”。結果的にブランドものですが、重要なのはそこではなくて、あくまで「体験」の豊かさです。

ジャスパー・モリソンのカトラリーセット

デザイン家具が好きな人なら「ジャスパー・モリソン」の名前は聞いたことがあると思います。「スーパーノーマル」をコンセプトに、極限までシンプルを追求したデザインの椅子やテーブル、照明などが有名です。

そのジャスパー・モリソンのカトラリー。一見何の変哲もありませんが、持ってみると適度な重みと持ち手のわずかな厚み、幅の広さが、しっくりと手になじむんです。

このシンプルながら細部まで計算し尽くされたデザインがジャスパー・モリソンの真骨頂。日常使いのカトラリーの究極と言っても過言ではないかもしれません。数十万円もする家具にはひるんでしまいますが、スプーン一本なら700円程度で買えるのもいいですよね。

「料理体験が一変する」 料理が楽しくなる、プロ一押しのキッチンウェア
握ったときのフィット感や適度な重みが使いやすさの要因という/(野呂美帆撮影)
クチポール「ゴア」

ここぞという場面の“勝負カトラリー”として紹介するのは、ポルトガルのカトラリーブランド「クチポール」。この「ゴア」というシリーズは、金属のゴールドと持ち手のカラーリングのコンビネーションがなんとも鮮やかです(ちなみに写真のカトラリーはザ・コンランショップが特注したものです)。

僕はホームパーティーなどの大皿料理のとりわけ用にこのクチポールを使います。極端な話、コンビニで買ってきたサラダも、ちょっと凝ったお皿にこのクチポールを添えれば食卓がぐんと映えますよ!

「料理体験が一変する」 料理が楽しくなる、プロ一押しのキッチンウェア
天然樹脂を用いた柄はなめらかな手触りで使いやすい。デザインも高級感たっぷり/(野呂美帆撮影)

03.作業が楽になるすりおろし器

「料理体験が一変する」 料理が楽しくなる、プロ一押しのキッチンウェア
左から、‎ワールドヴィジョン「長次郎 鮫皮おろし」、新考社「ザ・おろし」、ののじ「サラダおろし」(野呂美帆撮影)

とにかく面倒くさいことが嫌いな僕が、数ある調理法の中でずっと避け続けてきたのが「すりおろし」。そんな僕に「すりおろしって楽しい!」とイメージをポジティブに変換させてくれたすりおろし器を紹介します。

新考社 「ザ・おろし」

大根をすりおろした後の、あのヘトヘト感を究極まで軽減してくれるのがこの「ザ・おろし」。丸穴に付いた歯を半分に減らすことで、繊維の引っかかりを少なくしたのがスムーズなすりおろし体験の秘密。他にも手の動きに合わせて傾斜をつけたり、おろし金を微妙にラウンドさせることで接地面を減らしたり、随所に工夫がほどこされています。

主婦のアイデアから生まれたというこの商品。ド直球なネーミングからも、「すりおろし」というシンプルなテーマにとことん向き合った形跡がうかがえますよね。

「料理体験が一変する」 料理が楽しくなる、プロ一押しのキッチンウェア
わずかな傾斜が作業負担を軽減してくれる/(野呂美帆撮影)
ののじ「サラダおろし」

野菜を細く千切りにするおろしがねです。注目すべきは、大きい穴と小さい穴が交互に配置されていること。これによって、素材の柔らかさと歯ごたえのある堅さがランダムになって「ふわふわ」と「シャキシャキ」が一体となった極上の食感が味わえるんです。シリコン製の持ち手もほどよいグリップ感があり、硬い野菜も力を入れずにおろすことができます。

大根やキュウリでももちろんOKですが、おススメはダントツでにんじん。これで作ったにんじんしりしりやキャロットラぺは、高級レストランのステーキの付け合わせと遜色ありません!

「料理体験が一変する」 料理が楽しくなる、プロ一押しのキッチンウェア
サイズ違いの穴が配置され、異なる食感の素材がすりおろされる/(野呂美帆撮影)
‎ワールドヴィジョン「長次郎 鮫皮おろし」

自宅でわさびを使おうと思ったとき、チューブわさび以外の選択肢はありませんよね? でも、この「長次郎 鮫(さめ)皮おろし」を使って、自宅ですりおろしの生わさびを体験してみませんか。スーパーで買ったごく普通の刺し身が料亭の味に感じられますよ!

おろすスピードで辛みが変わるのも、わさびのおもしろいところ。いろいろ試しながら自分好みの辛さを探求するのも楽しいですよ。

「料理体験が一変する」 料理が楽しくなる、プロ一押しのキッチンウェア
「多くの料理通が、わさびおろしはこの鮫皮おろしを使っています」と水代さん/(野呂美帆撮影)

04.ミキサー&はさみ

「料理体験が一変する」 料理が楽しくなる、プロ一押しのキッチンウェア
クイジナート社のミキサー(左)とプラス社の料理ばさみ/(野呂美帆撮影)

具材を切るハサミ、つぶしたりかきまぜたりするミキサー。切れ味の軽やかさはもちろんですが、僕が重視するポイントは「洗う手間が少ない」こと。その観点から感動したハサミとミキサーを紹介します。

プラス 「フィットカットカーブ 料理はさみ」

ちょっとした食材を切るときに何かと重宝するハサミ。ただ、肉や魚を切る際に悩ましいのは、どうしてもハサミの根元まで汚れが付いてしまうこと。その汚れを落とすのにカシメ(ハサミの刃どうしを留める部分)のネジをいちいち外すことほど面倒なことはありません。

ところがこのハサミは、カシメのつまみをひねるだけで、刃がパチンと分解できるんです。もちろん元に戻すときもワンタッチ。これに出合ったときの感動たるや……。切れ味の軽やかさも、さすが創業70年以上の文具メーカーの実力です。

「料理体験が一変する」 料理が楽しくなる、プロ一押しのキッチンウェア
ハンドルを開くと簡単に外れて分解できる/(野呂美帆撮影)
クイジナート「スマートスティックハンドブレンダー」

ミキサーって便利なのは認めます。でも僕にとっては使った後に取り外す、洗う、乾かす……この一連の作業が多すぎて、大げさかもしれませんが使うのに覚悟が要るんです。

そんな僕が重宝しているのが、このクイジナートのスティックハンドブレンダー。ミキサーとしても使えるのですが、そのまま鍋に突っ込んでスイッチを入れれば簡単にかき混ぜたり潰したりできるんです。

冷蔵庫の余り物の野菜をぜんぶ鍋に放り込んで、コトコト煮てから、最後にこのブレンダーでかき混ぜれば南仏風の「プロバンススープ」のできあがり。残り物の野菜を使うからフードロス解消にもつながります。豚のリエットやあらほぐしの鮭(さけ)フレークを作るのにもこのブレンダーが大活躍しています。

そして、洗うのはこの刃のついた先端のパーツだけ。ミキサーを洗う手間を何工程も省略できるのが実に爽快ですね。

「料理体験が一変する」 料理が楽しくなる、プロ一押しのキッチンウェア
鍋で野菜を煮込み、この道具でかき混ぜてスープにすることも多いという/(野呂美帆撮影)

     ◇◆◇

2019年4月にスタートした連載「水代百貨店」は今回で終了します。長らくご愛読いただきありがとうございました。連載の過去記事はサイト上に残りますので、またぜひご覧ください。

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