Webブラウザ「Internet Explorer(IE)」は日本時間6月16日、開発元のMicrosoftによるサポートが終了する。終了後にはIEのみで動作する仕様のコンテンツは利用できなくなる。日本は世界的にもIEへの依存度が高いとされるが、「令和の2000年問題」に発展するのか。
IEは1995年に初めて公開されてから、ビル・ゲイツ氏率いるMicrosoftの基本ソフト(OS)「Windows」シリーズに標準搭載されてきた。2001年ごろには世界のブラウザシェアで9割を超えていたとする調査もある。
現在のブラウザはGoogleの「Chrome」やAppleの「Safari」などが普及している。
情報処理推進機構(IPA)は、IEのサポート終了に伴う対応をまとめている。
一般ユーザーに求められる対策はブラウザの切り替えだ。サポート終了後、IEを立ち上げようとすると同社の後継ブラウザ「Microsoft Edge」が自動的に起動する。IEのみに対応していたコンテンツは、Edgeを「IEモード」に設定すると従来通り利用できる。
ITジャーナリストの三上洋氏は「あくまで互換モードなので、サポート終了の前にIEモードで問題なく機能するかテストする必要はある」と指摘する。
ただ、IEモードについてもMicrosoftは29年をめどにサポート終了を発表していて、あくまで応急処置になる。組織のシステム部門は、近くIE以外のブラウザに対応した仕様に変更する検討を求められそうだ。
ソフトウェアのテストや品質向上支援を手掛けるバルテスは21年9月、同社が提供するサービスの会員241人に対する調査結果を公表した。所属組織のIE終了後の移行措置について、42%が「現在対応中」、15%が「まだ対応を始めていない」と回答。「対応完了」の回答は16%にとどまった。
ある企業の情報システム部門に勤務する女性は「以前、社内システムの刷新で全社に向け簡単な更新作業を依頼したところ、各部門から問い合わせが止まず戸惑った。Edgeへの切り替えで同様の混乱を生まないか不安はある」と明かす。
日本は今も海外と比べてIEへの依存度が高い。Web解析サイト「StatCounter」が公表するブラウザのシェア率をみると、22年4月現在、IEは世界全体で0.39%だが、日本は1.79%だ。
「一部の企業や自治体の内部システムが依然としてIE向けの仕様のまま更新されていないのではないか。サポート終了に伴うトラブルで問題が表面化する恐れもあるだけに、Microsoftも強く注意を呼び掛けている」と前出の三上氏。
一刻も早い対応が求められる。
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