ロシアによるウクライナ侵攻に伴う世界的な食糧価格高騰は、内戦などで破綻状態にあるアフリカの南スーダンに深刻な影響を及ぼしていた。「かつてない食糧危機」(国連)に陥りつつあるとも指摘されている。
8人の子供が囲む一つの皿には、レンズ豆のスープとわずかな米が盛られているだけだった。お祈りの言葉を終えると、皆の手が一斉に伸び、ものの数分で皿は空っぽになった。床にこぼれたお米を一粒ずつ拾って口にする子もいる。
「十分な量の食事はとても買えない。おなかがすいたと泣かれると、つらい」
首都ジュバで、内戦などで孤児となった子供たちのための施設を運営するイスラム教信徒のハッサン・アブダラさん(42)はそう嘆いた。運営費を補うために建設現場の日雇い仕事を増やしているとはいえ、寝食をともにする30人の子供たちに3食を食べさせられない日もある。
世界食糧計画(WFP)によると、食糧の多くを外国からの輸入や支援に依存する南スーダンではウクライナ侵攻が始まった2月以降、主食の穀物ソルガムが最大59%値上がりした。国連によると、774万人の食糧が不足し、うち8万7000人が命の危険が迫る「飢餓状態」にある。
WFPは14日、予算不足を理由に、南スーダンでの支援の一部を停止すると発表した。「4月のラマダン(断食月)で寄付してもらった食糧は使い果たしてしまった。状況を本当に心配している」。アブダラさんは顔をこわばらせた。(ジュバ 深沢亮爾、写真も)
白ナイル川沿いの平野に、布やビニールをかぶせただけの粗末なテントが並んでいた。南スーダン南部、マンガラ避難民キャンプ。東京ドーム7個分の約34万平方メートルという広大な敷地に、約4万人の避難民が身を寄せていた。そのほとんどは、2019年の記録的洪水で住む場所を失った中部ジョングレイ州の農民たちだ。
アラキル・マエンさん(38)は8人の子供を抱え、地べたに即席のカーペットを敷いた小さなテントで暮らしていた。長男は食べ盛りの15歳。テントの中では、外で遊ぶ子供たちの輪から外れ、毛布にくるまって過ごす障害を持つ子の姿もうかがえた。
キャンプ生活は、予算不足に陥った世界食糧計画(WFP)が住民への支給分を一律5割削減した昨年から、急速に悪化していた。そこに食糧価格の高騰が追い打ちをかけた。キャンプの敷地内で作物を作り、子供たちが近くの川で魚を取ってしのごうとしているが、「生活はどんどん厳しくなっている」のだという。
キャンプの住民代表を務めるルイス・ガランさん(58)も「食料以外にも水も薬も足りない。将来の希望を失っている人も多い」とため息をついた。
からの記事と詳細 ( 南スーダンにロシア侵攻余波、8万7000人「飢餓」…一皿のスープを8人で囲む子供たち - 読売新聞オンライン )
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