JR東日本の駅ナカ自販機を中心に展開する飲料総合ブランド「acure(アキュア)」。駅を利用する人の多くが一度は見かけたことがあるかもしれないが、その商品ラインアップには麻婆スープ、ふかひれスープといった異色の「スープ缶」が含まれている。なぜここまで攻めた「スープ缶」を販売するのか。(清談社 沼澤典史) ● 中華風スープ飲料を 自社開発した理由 寒い冬の駅のホーム。自販機で温かい飲み物をカイロ代わりに購入した経験は誰しもあるだろう。定番は缶コーヒーやお茶であるが、近年はスープ系のラインアップも各メーカーが充実させている。そのなかでも、JR東日本の駅構内を中心に設置されている自販機「acure(アキュア)」では、ふかひれスープや麻婆スープなど思わず二度見してしまうようなスープ飲料を販売している。 アキュアを展開するのはJR東日本クロスステーションのウォータービジネスカンパニー。一風変わったスープ飲料を販売する理由を同社広報担当の小室塁氏はこう語る。
「当社の自販機の特徴はブランドミックスといって、さまざまな飲料メーカーの売れ筋商品や季節商品を並べていること。スープ飲料については、他社が多くのラインアップをそろえていましたが、コーンスープやオニオンスープ、みそ汁や豚汁といった洋風と和風の二極化傾向にありました。そこで、新たなジャンルである中華風スープ飲料を自社で開発し、販売することにしたのです」 温かいスープ飲料が販売されるのは冬シーズン。2018年から2020年にかけては「気仙沼産ふかひれ使用 ふかひれスープ」を販売。また、2019年~2021年には「旨辛 麻婆スープ」を販売した。 小室氏によれば、スープ飲料の中で最も売れるのはコーンスープで、それに次ぐのはみそ汁だという。この2強の牙城は簡単には崩せなかったが……。 「ふかひれスープと麻婆スープ、どちらも売り上げは悪くはありませんが、そもそも販売意図はスープのバリエーションを増やすことにありました。駅は毎日使うものなので、いつもと違う商品を提供したいと考えました。コーンスープとみそ汁には勝てなくとも、選択肢が増えることでアキュア全体の売り上げは向上するだろうと。シーズン毎に1本のペースで、新商品を開発しています」 アキュアでは2014年に「『冷え知らず』さんの生姜チキンスープ」、2016年には「贅沢デミグラススープ」というスープ飲料を発売した。続けざまに、これまでになかった中華風スープの販売を行った形だ。 ● 商品の本格感を目指し 製造過程で苦労も アキュアでは、オリジナルブランドを開発する際には「本格志向」を追求しているという。同社のオリジナル商品で有名なのは、「ふじ」「つがる」「トキ」といった青森県産りんごの品種別のジュースだ。 もちろんスープ飲料についても同様に本格志向を目指している。開発を手がける商品部の大河原恭子氏は次のように話す。 「付加価値をつけるために“本格感”を出すようにしています。ふかひれスープでは気仙沼産ふかひれのパウダー、麻婆スープでは四川料理にも使われる花椒油を使用しています。食品についてノウハウがある永谷園さんとも共同で開発し、味のレベルを高めました。手間がかかっているため、そのぶん値段も140円と、容量の割には高めですが、それでも多くの人に買っていただいています」 ただ、“本格感”を目指しすぎるあまり、製造過程での困難さもあった。 「スープ飲料は小腹を満たすために固形物を入れる場合も多いのですが、そうすると製造上の制約が多く発生します。例えば、麻婆スープではごま油や大豆そぼろが機械に詰まってしまうことがありました。そのような製造上の問題で、ボツになった商品も数知れず、です」(大河原氏)
からの記事と詳細 ( JR東日本が「麻婆スープ」を駅ナカ自販機で売る理由(ダイヤモンド・オンライン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース )
https://ift.tt/2Tko5qV
No comments:
Post a Comment