
土星の内部への入り口
土星の最大の特徴はその環にある。環は遠くからは円板のように見えるが、実際には無数の氷の塊でできており、家ほどの大きさの塊もあれば、小石ほどの大きさの塊もある。氷の塊は、土星やその衛星との重力相互作用によって押されたり、引っぱられたり、変形させられたりする。 そうしてできる環の「さざ波」は、土星の内部構造の記録でもある。科学者は通常、惑星の内部を探るのに重力場の変動を利用するが、この方法では土星のような巨大ガス惑星の内部をのぞき込むことができない。その代わりとなるのが環なのである。 1990年代初頭、惑星科学者のマーク・マーリー氏は、土星内部の物質の動きによって、土星に近いところにある暗くて幅の広いC環に波紋が生じ、それを観測できるのではないかと考えた。土星の心臓が鼓動し、内臓が動き、全体が脈動する。その振動が環の粒子と相互作用し、C環に「スパイラル密度波」と呼ばれる波紋を形成するのだ。 マーリー氏のアイデアは「100%正しいことがわかりました」とマンコビック氏は言う。しかし、彼の予想を裏付けるためには、20年以上の歳月と数十億ドル(数千億円)規模の宇宙探査が必要だった。 2013年、NASAの土星探査機カッシーニのデータを調べていた科学者たちは、環の中に初めて地震の痕跡を見つけ、それを利用して土星の内部をのぞいてみた。研究チームは、この新しい研究分野を「土星地震学(kronoseismology)」と呼び、観測された波紋のほとんどを土星内部の動きと関連付けた。2019年には、この手法を用いて、土星が10時間33分で1回転していることも突き止めた。 現在は米アリゾナ大学に在籍し、今回の論文の査読を担当したマーリー氏は、「長い歳月を経て、土星の環の波が実在することがついに確認されました。私たちが予想したような波が20個以上見つかりました」と言い、「せっかちな人にはお勧めできない研究分野です」と笑う。 しかし、マーリー氏が予測しなかった不思議な波が少なくとも1つあり、マンコビック氏と同じくカリフォルニア工科大学のジム・フラー氏は、この波を利用して土星の内部を探った。 「彼らは、土星のコアが徐々に変化してゆく不明瞭なものである場合にのみ、この特殊な波と、それ以外のすべての波を説明できることを、非常に説得力のある形で示しました」とマーリー氏は言う。「この波は惑星深部の状態に非常に敏感なのです」
からの記事と詳細 ( 土星の中心に奇妙なスープ状の巨大なコア、最新研究で解明(ナショナル ジオグラフィック日本版) - Yahoo!ニュース )
https://ift.tt/2UzOOAu
No comments:
Post a Comment