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Monday, October 26, 2020

醤油はワインのように料理に合わせて使い分けると味が激変するって知ってた? - @DIME

日々のご飯の調味料として欠かせない醤油。でもいつも同じものばかり使ってはいないだろうか。実は醤油と一口に言っても、淡口から濃口、再仕込や溜醤油までさまざまな種類があり、料理に合わせて使い分けるだけで食生活がもっと豊かになるという。全国各地約100種類の醤油を取り扱う専門店「職人醤油」の高橋万太郎代表に、意外な醤油の使い方を聞いた。

【取材協力】

高橋万太郎さん
職人醤油代表
1980年群馬県生まれ。立命館大学卒業後、(株)キーエンスにて精密光学機器の営業に従事し2006年に退職。伝統産業や地域産業の魅力を追求していきたいとの思いから、2007年に(株)伝統デザイン工房を設立。現在は醤油専門店「職人醤油」を運営する。
著書に「醤油本」(玄光社)、「にっぽん醤油蔵めぐり」(東海教育研究所)がある。
https://www.s-shoyu.com/

100mlサイズで全国の醤油を買える醤油専門店

松屋銀座地下2階にある「職人醤油」は、高橋さん自ら全国各地400以上の醤油蔵を訪問し、セレクトした一般的な濃口醤油から濃厚な溜醤油、小麦が主原料の白醤油まで約100種類がラインナップする。特徴は全銘柄が100mlに統一されていることだ。

生鮮食品売り場にある醤油専門店「職人醤油松屋銀座店」

全国各地の蔵元で作られる醤油は製造方法や原料一つをとってもまったく異なり、気温や湿度の変化でも味は変わってくる。中でも一番の味の決め手は木桶に住み着いた微生物だと高橋さんはいう。発酵に欠かせない微生物こそ、蔵元特有の醤油の味を生み出しているのだとか。

蔵元を訪問して個性豊かな醤油に出合うと、食の多様化が進む中で醤油も料理によって使い分けてもいいのではないかという発想に至り、食材に合わせた使い分け方を提案することにした。

では1Lが主流の醤油ボトルをなぜ100mlで販売するのか。理由を次のように説明する。

「昔は重たい液体を運ぶのが大変で、その土地の蔵で作られた醤油がその地域の人に販売されていました。今は全国の醤油がどこでも買えるようになったけど、百貨店やスーパーの棚に並ぶ数多くの醤油の中から自分好みを選ぶのは大変。試食せずに1Lのボトルを買うのはハードルが高いですよね。そこで、新しい味にトライしやすいように小容量に。

もう一つ、醤油は開栓し空気と触れると酸化し、劣化していきます。使い終わる寸前のものと新たに封を切ったものを比べてみると、味も香りも別物。美味しく味わうため、1ヶ月ほどで使い切るサイズにしました。

いくつか醤油を試食してもらい、『どれが好きですか?』と聞くと、好みはそれぞれ、合わせる食材によってももちろん違います。試せば味の違いは明確。まずは用途を聞いて、食材の味が引き立つ使い方をアドバイスすると、何本か購入していく人が多いですね」

色も味も違う!?全国の醤油

醤油には地域性があり、その土地の気候や風土が大きく関わっているということは伝えたが、見た目の色合いでもよくわかる。

「九州は全般的に煮物などの調理の味付けは甘め。糖分を含まない焼酎を好む九州の人は、甘い物を合わせるので醤油も甘口が好まれます。一方、東北で飲まれている日本酒には糖分が含まれているので、しょっぱいものを合わせて食べることが多く、醤油もしょっぱめが好き。地域の醤油の違いはお酒の影響もあると思います」

ちなみに醤油の定義とは大豆を使っていること。大豆に加えて麦や米などを使用し、麹菌を使って発酵熟成させた清澄な液体調味料をいう。同店ではJAS規格が定める5種類の醤油(白・淡口・濃口・再仕込・溜)に甘口をプラスして、6種類に分類。流通量の約80%をしめる濃口醤油を基準に熟成期間の短い(白・淡口)、熟成期間の長い(再仕込・溜)に分けて提供している。ここで6種の基本を紹介。

1白醤油

旨みを抑えているので素材の味を活かす。炊き込みご飯や吸い物、茶碗蒸しなどに使うと、醤油の色がつかず、彩り豊かに仕上がる。

2淡口醤油

西日本でお馴染み。煮物や吸い物など素材の彩りや出汁を活かしたい料理に使用。また塩やレモンの代りとして白身魚や冷や奴にかけても◎。

3甘口醤油

九州や北陸などでは一般的。海沿いほど甘みが強く、地域に根付いた醤油。焼きおにぎりや卵かけご飯に。しかし好き嫌いが分かれるよう。

4濃口醤油

全国で作られている万能タイプ。醤油メーカーで味や香りに個性がある。つけ醤油から調理用途も幅広く、何にでも良く合う。

5再仕込醤油

熟成期間の長い濃厚な醤油。つけ醤油として万人受けする。ソースの代りに使用し、素材との一体感が楽しめる。

6溜醤油

中部地方が主産地。色が濃くてとろみと独特の香りが特徴。熟成期間が長く、うま味成分たっぷり。照り焼きに使用すると、きれいな照りが出ると好評。

醤油の使い分けはワインのように考える!?

「西日本では醤油を“調理用”と“かける用”に使い分けている家庭が多いですが、関東は1本でまかなっているために使い分けるという発想はないかもしれません。

白ワインと好相性で素材そのものの味を楽しみたい時は、塩やレモン代わりに白醤油や淡口醤油をかけて。赤ワインとの組み合わせが抜群な肉料理などは濃厚な再仕込醤油や溜醤油が合います。

ドレッシングを家庭で作るのは意外にお手軽。割合は醤油:油:酢=1:1:1。どの醤油でもできます。レタスなどの野菜サラダは淡口、オリーブやローストビーフは濃口がおすすめ。油はサラダ油、ゴマ油、オリーブオイルなど何でもOK。砂糖や蜂蜜を加えて好みの味に」

大好物なものに合わせる醤油が選べる

同店では、大好物をもっと美味しくする「大好物醤油」を展開。魚・肉料理、卵焼き、カレー、うどん、アイスクリーム、アボカドなど24種類に合う醤油を全国の蔵から吟味。可愛らしいイラストが描かれたパッケージを取り外すと、醤油蔵のラベルデザインに。

意外なものにもマッチ!?高橋さんおすすめの使い方

「食パンを焼いてバターと醤油をぬり、もう一度焼くと、香ばしさがたまらない“やみつきトースト”に。お好みで蜂蜜を合わせると高級感が出ます。またチーズにかけるだけで絶品のおつまみになる醤油もおすすめ。しっかりした燻製の味と香りを楽しめ、家飲みには欠かせません。

大好物をもっと美味しくする醤油もそれぞれ。自分のお気に入りを見つけてください」

当たり前に使っている醤油。違うものを選んでみたいと思っても、価格が少し高いから良い物くらいの認識しかない。ステイホームでお家ごはんを楽しむ人が増えたことで、レパートリーに限界を感じている人も多いのではないか。醤油を含め調味料を変えるだけでも料理の幅は広がりそう。

文/佐野恵子

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